サムスン電子の「Galaxy S20」シリーズが、有機発光ダイオード(OLED)パネル構造内の材料を一部変え、電力効率を改善したことがわかった。光を出す機能層の上に載せた補助層のCPL(Capping Layer)の屈折率を改善し、消費電力を減らすことに成功したという。
韓国のジイレック紙によると、サムスン電子の上半期フラグシップスマートフォン、「Galaxy S20」シリーズは、OLEDパネルの内部CPLを変え電力効率を上げたという。
CPLは、OLEDパネル構造で発光を担う機能層の陰極上に蒸着する層だ。機能層は下から、陽極(Anode)- 正孔注入層(HIL)- 正孔輸送層(HTL)- 発光層(EML)- 電子輸送層(ETL)- 電子注入層(EIL)- 陰極(Cathode)の順に積み上げる。この機能層には、電気及び光学の特性のために簡単に変えるのが難しい最適発光条件が存在する。CPLとは、補助層を陰極の上に載せ光学の特性を補正することができる。
同紙によると、「Galaxy S20」シリーズ用CPLは屈折率が改善されたという。発光層から出る光が電極(陰極及び陽極)で繰り返し反射される過程で発生する損失を減らし、ディスプレイの側に向かうように支援する。「Galaxy S20」に適用されたCPLは、既存のCPLより電気効率を約7%改善されたとのこと。
今回のCPLはドゥサンソルース(Doosan Solus)社が単独供給したという。同社はCPL分野で競争優位を確保している模様だ。既存のGalaxyモデルのCPLはドゥサンソルース社とドッサンネオルックス(DUKSAN Neolux)社が供給してきた。
しかし、CPLを通じた電力効率改善効果は、OLEDの薄膜トランジスタ(TFT)技術を改善するよりは効果が少ない見通であると同紙は伝えている。
昨年、ドゥサンソルース社の売上高と営業利益はそれぞれ2030億ウォン(約180億円)、380億ウォン(約34億円)だった。
シンハン金融投資のシン・ハンミン研究員は報告書で「ドゥサンソルース社は銅箔・有機発光ダイオード(OLED)素材などのキャッシュカウに新規成長動力(電池箔)を加えた優秀な事業構造を備え、中長期成長性に注目に値する」と述べた。
ハンファ投資証券は、来年、売上が4960億ウォン(約444億円)、営業利益は840億ウォン(約75億円)に増加すると予想した。
(写真:ドゥサンソルースWebページ)