韓国のエコプロ社(EcoPro)が電気自動車(EV)バッテリーの核心素材事業を強化する。正極材の原料であるフリーカーソル(前駆体)の安定確保のために、中国現地に合弁会社を設立することが分かった。同社は、韓国の中堅電池正極材メーカーであるエコプロビーエム社(EcoProBM)の親会社だ。韓国のEVバッテリー事情を知る上で重要なキーマンとなる。
(参考記事:「[特集]”コリアンスリー”によるEV電池・正極材の確保競争」)
エコプロはサムスンSDIと正極材の合弁会社であるエコプロイーエム(EcoProEM)をはじめエコプロイノベーション(EcoPro innovation)、エコプロGEM(EcoPro GEM)、エコプロシーエンジー(EcoPro C&G)などを抱え、バッテリー材料の生産からリサイクルまで垂直系列化している。
13日、中国GEMは子会社である「副案GEM」とエコプロが福建省副案市に前駆体の合弁会社を設立すると発表した。韓国メディアも報じた。ニッケル・コバルト・アルミニウム(NCA)、ニッケル・コバルト・マンガン(NCM)などのニッケル含有量が高い高ニッケル正極材用前駆体の生産が目的である。持ち株比率はエコプロが49%、副案GEMが51%と伝えられている。エコプロが海外に合弁会社を設立するのは今回が初めてだ。韓国内ではすでにエコプロGEMという前駆体生産の法人がある。
中国現地合弁会社は、年産2022年2万4000トン、2024年までに4万8000トンの前駆体を生産する計画であるという。前駆体は、電池コストの40%を占める正極材を作るための重要な材料である。前駆体をリチウム化合物と、約1:1で混合する。
エコプロ子会社であるエコプロビーエムはSKイノベーション、サムスンSDIに正極材を供給するCAM5-N、CAM6新工場を浦項に建設する。それぞれ年産2万6000トン、7万トン規模と推定される。既存のCAM4とCAM5工場を加え、2023年までに年産18万トンの正極材を作る計画だ。正極材の生産量が増えるほど、前駆体もそれほど多く必要である。中国の合弁会社設立の背景とみられる。
より安定した正極材の確保のためにエコプロはエコプロGEMを通じて前駆体原料を直接処理するための変換工程に785億ウォン(約70億円)を投資すると昨年12月に決定している。
(参考記事:「エコプロビーエム社、NCMA正極材を生産へ」)
(参考記事:「SKイノ専用の工場建設、正極材企業の韓国エコプロビーエム社」)
(参考記事:「サムスンSDIが正極材で合弁会社設立、次世代バッテリー「Zen5」に供給へ」)