米半導体企業のザイリンクス(Xilinx)は15日、サムスン電子がザイリンクスの「Versal」適応型コンピューティングアクセラレーション・プラットフォーム(ACAP:Adaptive Compute Acceleration Platform)を採用したと発表した。
ザイリンクスの「Versal」対応型ACAPは、複数の地域の様々な通信事業者のニーズを処理することができる、柔軟で拡張可能な単一のプラットフォームを提供するという。
ジョン・ジェホ=サムスン電子ネットワーク事業部、R&D責任者兼上級副社長は、「サムスンは5G技術のリーダーシップを強化し、新たな5G時代をリードするためにザイリンクスと緊密に協力している」とし「ザイリンクスの新しい高度なプラットフォームをサムスンソリューションに導入することにより、5Gの性能を一歩発展させ、グローバル市場でのリーディングポジションをさらに加速することができるものと期待している」と述べた。
高集積、マルチコア、異機種コンピューティングプラットフォームである「Versal」ACAPは、ネットワークの容量を増やすために使用されている洗練されたビームフォーミング技術をはじめ、複雑なリアルタイム信号処理などの5Gの重要な機能を実行するという。 5Gは、インフラストラクチャの要件と業界標準仕様が進化し続けているため、適応型コンピューティング技術をリードするザイリンクスのソリューションが求められるザイリンクスは説明した。
5Gは、同じスペクトルを使用して、複数のユーザーに複数のデータストリームを送信することができるビームフォーミング技術を必要とする。これは5Gネットワーク容量を増大させることができるからだ。しかし、ビームフォーミング技術が5Gの短い遅延時間の要求を満たすためには、かなりのコンピューティング密度と最新の高速接続機能(オンチップとオフチップ)が必要である。また、異なるシステムの機能分割の要件と様々なアルゴリズムを実装する必要があるため、幅広い処理能力とコンピューティング精度が要求される。既存のFPGAは、熱やシステム占有スペースの制約を満たすと同時に、これらの要件を最適化して解決することは非常に難しいとされていた。
「Versal」対応型ACAPは、ビームフォーミングアルゴリズムに必要な短い遅延時間のリアルタイム信号処理性能を低消費電力で処理することができる優れたコンピューティング密度を提供するという。また、タイル構造のベクトルプロセッサで構成された「Versal」AIコア(AI Core)シリーズのAIエンジンは、高いコンピューティング密度と最新の接続機能を提供することはもちろん、構築された後も再プログラムや再構成が可能となり、必要な演算機能を実装するために非常に適しているとザイリンクスは強調した。
ザイリンクスの有線および無線グループ統括責任者兼上級副社長であるリーアム・マッデン(Liam Madden)氏は「サムスンは5G革新を実現しているパイオニアだ。ザイリンクスは、サムスンの5G網商用構築に重要な役割を遂行することになり喜ばしい」とした。
(写真:ザイリンクス提供)