中国のバッテリーメーカーであるSボルト社が、「コバルトフリー」のバッテリーを発表した。電気自動車(EV)1回充電時の走行距離を880kmに伸ばし、既存バッテリーより原価を最大15%減らせるというのが特徴だ。
韓国の電子系メディア・ジイレック紙は、Sボルトのバッテリーの正極材開発は韓国出身の人材が担当したとし、「国内バッテリーの核心人材と技術が流出したと思われる」と報じた。
同紙よると、Sボルトは最近開催したバッテリーカンファレンスにおいて、コバルトフリーバッテリーを来年6月に市場に出すことを明らかにしたという。単結晶構造正極材、ナノコーティング技術などが適用され、エネルギー密度が最大590Wh/Lに達するという。正極材、分離膜、負極材などのバッテリー素材を階段のように一層ずつ重ねるスタッキング(Stacking)プロセスも使われたとし、最新バッテリー技術が網羅されていると指摘した。
同紙によると、ある関係者は「Sボルトは京畿道の板橋(パンキョ)に研究・開発(R&D)施設を作り、国内バッテリーメーカーの人材を数十人確保した」と述べたという。
Sボルトは、カンファレンスの中で、国内バッテリーの権威である、漢陽大学エネルギー工学科のソン・ヤングク教授も紹介した。ソン教授は、韓国のバッテリー材料分野の最高権威者だ。しかし、ソン教授は同紙の電話取材に対し、「Sボルトから一緒に仕事をしようという提案を受けたが、その場で断った」と述べ、「写真、プロフィール、研究成果などの使用を許可していないのに、Sボルトが無断で盗用した」と述べたという。
Sボルトは、中国の完成車メーカーである長城汽車(GWM)から独立した企業だ。最近、バッテリーの積極的な生産増設に乗り出しており、最近、年算20GW/h規模のバッテリー工場に100億元(約1520億円)を投資すると発表した。北京、常州、天津にバッテリー工場を建てる。また、ヨーロッパ市場攻略のため20億ユーロ(約2360億円)を別途投入する計画だ。