韓国のマネートゥデイ紙は20日の記事において、中国の半導体やディスプレイ企業による韓国人技術者の採用実態について報じた。
同紙によると、中国のJHICC(福建省晋華集成電路)は、「韓国の半導体業界のエース」の勧誘に成功したと推測。このことにより、一度は断念したDRAM開発に再挑戦していると伝えた。
同紙は、このような人材引き抜きの理由として、技術力の確保があると指摘。DRAMやNAND型フラッシュを生産するにしても、使用する化学物質や設備、クリーンルームの配置はメーカーごとにすべて異なる。別名「レシピ」(調理法)と呼ばれるこのようなノウハウは、収率と量産に直結する重要な要素であることから、サムスン電子とSKハイニクス出身の人材には巨額のスカウト費が中国企業から支払われると伝えた。
同紙に対して、国内半導体メーカーの関係者は、「退社理由が明確でない従業員の中には、証拠こそないが、中国に行くと推定される事例が意外なほど多い」とし「本当に、こうするうちに、中国が目に見えた開発成果を収めるのではないかと危機感を感じるほど」と語った。
同紙はまた、韓国ディスプレイ産業の人材流出は半導体業界よりもはるかに深刻な状況であると指摘。中国のディスプレイメーカー・BOEの中小型OLED工場がある成都の「B7」と重慶「B12」には韓国人のエンジニアが大勢働いており、その事実は、今では公然の秘密であるとし、「ここでのいくつかの生産ラインは、韓国のディスプレイメーカーの「コピー版」だという指摘まである」と伝えた。
BOEは韓国ディスプレイメーカーが使うものと全く同じ蒸着装置などを使用しているとの業界は推定しているという。それでも収率が10〜20%水準を脱しないため、韓国人の技術者を一挙にスカウトし問題の解決に乗り出しているとのこと。
(参考記事:「中国企業が「コバルトフリー」EV電池発表 韓国技術者が関与か?」)
(参考記事:「好条件で韓国の技術者を引き抜く中国EVメーカー」)