韓国科学技術研究院(KIST)は、同研究院内にある「次世代半導体研究所・スピン融合研究団」のイ・ギヨン博士チームが、「エネルギー素材研究団」ソン・ジウォン団長研究チームとの共同研究により、従来の磁気メモリで使用されていなかった新しい物質であるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を活用し、水素イオンを注入した超低消費電力、高速磁気メモリ素子技術を開発したと発表した。韓国各紙も報じた。
半導体メモリ素子の高集積化と低消費電力が指数関数的に増えるなか、これらの問題を解決するために、次世代の不揮発性メモリであるMRAM技術が大きな注目を集めている。
MRAMは、データ処理速度が速いDRAMと、電源を切ってもデータが消えないフラッシュメモリの利点を併せ持つとされる。電流をベースにした既存のメモリとは異なり、MRAMは、電子の回転(スピン)による磁性(磁性)を活用する。
今回、合同研究チームは、セラミック燃料電池(SOFC)の分野で電解質として使用される、高いイオン伝導度を有する物質であるYSZを磁性素子に組み合わせ、水素イオンを注入したという。これにより、水素イオンの移動の効果を極大化し、高効率を維持しながら、スピンの整列方向転換速度が従来比100倍改善された素子を作ることに成功したとのこと。
イ博士は、「燃料電池の分野で活用されている材料を磁気メモリに適用したのは、総合研究所であるKISTの利点を非常によく活用した融合研究成果で見ることができる」とし「磁性メモリ技術は、現在、既存の市場の構図でも、既存のメモリを代替の方法で商用化が可能なだけでなく、次世代の不揮発性メモリ素子の中で最も特性が優れたメモリとして事業化の可能性が非常に大きい」と述べた。
今回の研究結果は、ナノテクノロジーの分野の著名国際学術誌である「ナノレタス(Nano Letters)」の最新号に掲載された。