[特集]日韓分業正常化で半導体など8.7兆円の効果…韓国の「経団連」が関係改善を提言

 日本の経団連に該当する、韓国の全経連(全国経済人連合会/FKI)は29日、「日本の輸出規制1年の評価と課題」と題するセミナーを韓国ソウルで開催した。高純度フッ化水素など半導体関連3品目について、日本が韓国への輸出規制(輸出管理強化)措置をとってから1年が経つタイミングで開かれた本セミナーでは、韓国の素材・部品の国産化状況や、日韓企業が分業した場合の相乗効果などについて報告がなされた。有用な内容であることから、同報告の概要について翻訳・整理したものを掲載する。

 セミナーでは、2019年7月に行われた日本政府による輸出規制に対して、韓国ではフッ化水素について国産化などの代替が広く行われたが、フォトレジストやフッ素ポリイミドについては、日本からの輸入額が最近むしろ増えるなど、品目に応じて異なる結果が出ているとの報告があった。また、韓日間において素材・部品・機器の国際分業システムが正常に動作した場合、(2018年基準で)両国の製造業で創出される付加価値の規模は136兆ウォン(約12.2兆円)に達するとの分析も明らかにされた。
 

輸出規制後の対日輸入額:フッ化水素↓、フォトレジスト‧フッ素ポリイミド↑

 第一報告者を務めたパク・ジェグン漢陽大学融合電子工学教授(韓国半導体ディスプレイ技術学会会長)は、「日本の輸出規制に対応して、韓国企業は素材・部品・機器の国産化と海外ベンダーの多様化に努めており、その結果、今年1〜5月ベースで、フッ化水素の対日輸入比率は、前年同期比44%から12%に減少するなど、急速に国産化と輸入代替が行われているが、フォトレジストとフッ素ポリイミドは、むしろ前年同期比で対日輸入額が増えるなど、品目によって異なる結果が出た」と報告した。
 

 

代表的な半導体素材企業の平均研究開発費は日本が圧倒

 パク教授は、「日本と韓国の代表的な半導体素材企業の売上比研究開発費の割合は、それぞれ3.8%および2.6%と大差ないが、企業別でみた平均研究開発費では、日本が1,534億ウォン(約138億円)であるのに対し、韓国は130億ウォン(約12億円)に過ぎず、その差は大きい」と指摘。その上で、素材・部品・機器の競争力強化のためには、「中小企業間のM&Aを促すか、可能性のあるメーカーへのサポートを強化など、選択と集中が必要である」と語った。

 同競争力強化のためには、韓国政府が、①素材・部品・機器の国産化およびベンダーの多様化のための関連企業の国産化サポートを強化、②R&BD(事業化連携技術の開発; Research&Business Development)事業の推進、③グローバル企業のためのR&Dセンターと生産拠点の国内誘致などを積極的に推進すべきであると提案した。

また、半導体‧ディスプレイの素材・部品・機器のグローバル化と関連し、半導体産業では機器の技術開発が、ディスプレイ産業では部品分野での技術開発が最も急がれるとし、そのような技術開発を支援する事業団の設立を提案した。
 
(参考記事:「[特集]WTO提訴再開を表明した韓国政府と日本側の反応」)
(参考記事:「東京応化工業がEUVフォトレジストを韓国で生産…韓国国営ニュース報じる」)
(参考記事:「[特集]フッ化水素を内製化したSKグループ、半導体事業でさらなる動きも」)
 

日本との分業正常化時の経済効果は約8.7兆円

 第二報告者を務めた東義大学のイ・ホンベ貿易学科教授(韓国北東アジア経済学会会長)は、「韓国の素材・部品機器産業がグローバル競争で優位を確保するためには、逆説的に、日本との緊密な協力は(選択の一つではなく)必須である」と強調した。イ教授は、「韓日の素材・部品・機器産業は、強力な分業体制によって2018年基準で約811億ドル(約8.7兆円)規模の付加価値を創出しており、製造業全体の広げると約1,233億ドル(約13兆円)に増える」としつつ、「両国の分業が崩壊した場合は、これだけの損失を発生するという意味でもある」と主張した。

 続けて、「韓国企業の観点から、安定的なコスト削減と国産化、グローバル市場先取りのために、政府が中長期的に両国の素材・部品・機器産業の特化地域を設けて、企業間のR&Dプロジェクトの活性化や共同技術の開発、熟練技術者や経営者の交流を拡大していかなければならない」と提案した。
 

国産化などの動きは評価されるが、日韓間の懸案は解消していくべき

 全経連のクォン・テシン副会長は開会の辞を通じて、「日本の措置以降、我々は、政府による素材‧部品‧機器100大戦略品目の競争力総合対策の樹立、官民合同による関連品目の早期国産化、代替輸入先の確保などの努力により、半導体・ディスプレイの供給に支障が出ず、素材・部品の対日依存度を一定部分低下させた」と肯定的に評価した。実際に輸出規制が本格的に開始された昨年第3四半期以降、対日素材部品の貿易赤字は減少傾向にある。一方で、クォン副会長は、「昨年12月24日、中国成都で行われた韓日首脳会談以降、両国の外交関係は正常化の兆しがなく、対話を通じた相互の輸出規制解消が失敗に終わり、WTOによる紛争解決手続に入ったのが残念だ」と語った。

 キム・ボンマン全経連国際協力室長は、「日本の輸出規制の根本背景には、史上最悪の韓日間外交摩擦があり、これにより、韓国企業が対日ビジネスにおいて大きな困難にあっており、全経連は、「韓日財界会議」などを通じて、日本経済界と積み重ねてきた30年の信頼をもとに、当面の懸案である「韓日間の相互輸出規制の速やかな解消、韓国企業人による日本入国禁止措置の解除」のため最善の努力を尽くす」と述べた。
 
 

翻訳・構成:イ・ダリョン=編集長

 
 
 

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