韓国の成均館大学の新素材工学科ホン・ソンイン博士(第一著者、キム・ソングク教授研究チーム)とチェ・スンヒ博士(共同第一著者、ユン・デホ教授研究チーム)が共同研究を通じて、人間の感覚順応を模倣する、ニューロモーフィック・フォトトランジスタを開発したことを明らかにした。
近年、ヒトと電子機器を連結する五感増強型電子素子・素材の研究が活発に行われ、五感の機能不全に対し、人工の目、人工の皮膚、人工の鼻など、これを補助するスマートインタフェースの役割が提起されている。特に、ヒトの目を担当するイメージセンサの製作にはシリコン、III-V族物質が活用されている。
既存のイメージセンサは色を読み取り、区分するという単純な機能だけを有し、ヒトの光受容体の順応を模倣できなかった。光受容体の順応とは、周辺の反復的信号を逆重みづけすることで、反復的信号に順応し、他の信号を読み取る現象のことを指す。
神経系を模倣するニューロモーフィック・エンジニアリングの観点からすると、最近の研究は神経の活動に偏っていたため、受容体、或いは神経系に注目した新たなニューロモーフィック・デバイスが必要であった。そこで、研究チームは、感覚順応フォトトランジスタが魅力的なニューロモーフィック・デバイスになると予想した。
研究チームは、光反応の際に相分離が発生するハロゲン化物ペロブスカイトナノ結晶構造体と2次元ナノ板状物質の二重複合体を活用することで、RGB光源に選択的に順応できる、視神経網を模倣した効果が得られることを明らかにした。
さらに、密度汎関数理論第一原理に基づき、ハロゲン化物ペロブスカイトの調性・調性比を調節し、様々なバンド構造を持つ素材を製作が可能であることと、相分離現象が極大化される物質の比較を通じてバンドギャップの変化を明らかにした。
研究結果を活用することで、外部の光の入力によって特定の色だけを検出し、順応できる人工知能型イメージセンサを開発することができる。既存の内視鏡では検出することが難しい、出血が生じた部分の病変などをより簡単に検出できる、知能型イメージセンサの開発可能性を提示した。
この研究結果は国際ジャーナル、ACS Nano(IF= 14.58)の8月号に表紙論文として掲載された。
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