韓国KAIST「次世代量子光源のための半導体量子ドット対称性制御技術を開発」

 12月13日、韓国科学技術院(KAIST)物理学科のジョ・ヨンフン教授の研究チームが、LEDに広く使われている窒素化合物半導体を用い、対称性の高い三角形の量子ドット(Quantum Dot)の形成・制御に成功したことを明らかにした。これにより、光子の間に量子もつれを発生させる、次世代量子光源の制御方法が具現化した。

 「量子もつれ(entanglement)」は、粒子が対をなし、お互い相関関係を持つことで、距離に関係なく片方の粒子を測定すると、もう片方の特性が分かる現象である。専門家らは、量子もつれという量子力学的な現象を活用することで、量子通信、量子コンピュータのような、量子情報に必要な技術開発が可能になり、物理分野の新たな研究テーマが開拓されると期待している。

 半導体量子ドットは、任意の時間に光子を1つずつ放出する、個体基盤の量子光放出素子の代表的な例として、活発に研究されている。特に、半導体量子ドットの対称性を制御し、量子ドット内部の微細エネルギー構造を精巧に調節することで、二つの光子を量子もつれ関係にする、偏光量子もつれ光子双放出が理論的に可能であるため、量子通信、量子コンピュータ分野での研究が活発である。

 格子構造を持つ半導体は一般的に、原子を一層ずつ積み上げる薄膜蒸着技術で製作される。この時、発光層を形成するために、格子の大きさが異なる層を形成する必要があり、内部に応力が発生する。この場合、発光層の持つ応力をエネルギーとして、量子ドットが無作為的に形成されるため、量子ドットの大きさの均一性と対称性が低下し、根本的に、量子ドットの位置と模様を制御できなくなる。そのため、量子もつれ光子双放出素子を製作するためには、製作段階で位置と対称性を制御できる技術が必要となる。

 青・緑LEDによく使われている窒素化合物半導体は、常温でも量子的な特性を維持することが可能であり、常温で安定的に具現できる量子光源素子の候補物質として注目を集めている。しかし、この物質系は、量子ドットの対称性が崩れると、量子もつれの特性を簡単に失うため、高精度の対称性制御技術の確保なしでは、具現が難しいという限界があった。

 ジョ・ヨンフン教授の研究チームは、量子ドットの位置と対称性を高精度で制御するために、三角形のナノ配列パターンを持つ基板の上に、三角ピラミッド型の窒素化合物半導体ナノ構造を製作した。その後、量子ドットを形成する段階で、ナノピラミッドの頂点の幾何学的形態を調節し、熱力学的安定性で形成方式を自動で調節する、自己制限的成長メカニズムを適用した。

 その結果、六角形結晶構造を持つ窒素化合物半導体から一般的に表れる、六角対称性の非均一な量子ドットではなく、三角対称性を持つ高品位量子ドットを具現することができ、窒素化合物半導体量子ドットの対称性を高精度で制御することに、世界で初めて成功した。

 研究チームは、制作されたナノ構造体の発光を分析するために、数ナノメートル単位の空間分解能を持つ電子顕微鏡を用い、発光を測定した。測定により、三角ピラミッドの頂点に量子ドットが安定的に形成されたことが確認された。また、時間による光子間の相関関係測定で、量子光の放出を観測した。さらに、形成された量子ドットの非対称性の程度が測定できる、量子光の偏光度と微細構造分離程度を測定し、高い対称性を持つ三角量子ドットが形成されたことを実験により確認し、理論的計算結果と比較することで、測定結果が妥当であることを立証した。

 この研究は、窒素化合物半導体量子ドットの非対称性と高い偏光度を利用し、常温単一光子放出器の製作に集中していた、既存の方法から脱却し、量子ドットの対称性を精密に調節することで、偏光量子もつれ光子双放出器としての応用可能性を示した。また、汎用半導体薄膜蒸着装備と、微細パターン技術を利用したため、産業的側面においても、高い拡張性を持っている。

 研究を主導したジョ・ヨンフン教授は、「半導体量子ドットを製作する過程で発生する量子ドットの非対称性を効果的に制御し、量子ドット内部の微細エネルギー構造を精巧に調節できることを示した結果」と述べ、「常温でも動作が可能な窒素化合物半導体量子ドットを利用し、偏光量子もつれ光子双放出素子のような、次世代量子光源の開発に活用できるはず」と説明した。

 KAIST物理学科のヨ・ファンソプ博士が第一著者として参加し、サムスン未来技術育成事業などの支援で遂行されたこの研究は、12月9日、ナノ分野の国際ジャーナル、Nano Lettersに掲載された。(論文題目: Control of 3-fold symmetric shape of group III-nitride quantum dots: Suppression of fine structure splitting)

関連記事

特集記事

エレクトロニクス業界リサーチやコンサルティング、コーディネーションのご相談はこちらまで

ランキング

  1. 1

    シャープからサムスンに転職したエンジニアが語る「サムスンが優秀な理由」

  2. 2

    スマホ世界一のサムスン電子が日本市場で苦戦中、iPhoneとは対照的

  3. 3

    Galaxy S23 ultraの色やエッジは? 「薄くなって平らになる」

  4. 4

    Galaxy S22の購入者、発熱問題でサムスン電子を相手に集団訴訟を予告

  5. 5

    味の素社が製造するABFの調達懸念で韓国半導体業界は非常事態に…なぜ?

  6. 6

    LCD事業の撤退を急ぐサムスンディスプレイ…今年6月に生産終了へ向け調整

  7. 7

    「二つ折り」サムスンの新商品フォルダブルフォン「フレックス」公開

  8. 8

    再びやってきたGalaxyの危機、「バッテリー爆発」Note7の事態を振り返る

  9. 9

    ウクライナ事態で希少ガス「ネオン」の価格が高騰…ポスコに関心集まる

  10. 10

    サムスン電子、横にもワイドな「ㄱ字型」のフォルダブルフォンを発売へ

TWITTER

「Galaxy Z4 vs iPhone14 vs Mate50」韓米中の戦略スマホがビッグマッチ
#コリアエレクトロニクス
https://korea-elec.jp/post/22091603/

米EV補助金の中止で暗雲が立ち込める現代自動車グループ、解決策はあるか
#コリアエレクトロニクス
https://korea-elec.jp/post/22091602/

K-半導体、需要低迷による危機が懸念される中、韓国企業は投資で正面勝負に
#コリアエレクトロニクス
https://korea-elec.jp/post/22091601/

BOE、昨年米国での出願特許1位・サムスンDは2位…技術覇権争い激化
#コリアエレクトロニクス
https://korea-elec.jp/post/22091502/

サムスンSDI、独BMWと北米にEVバッテリー工場設立の可能性
#コリアエレクトロニクス
https://korea-elec.jp/post/22091501/

Load More
TOP