ポルシェのEVモデル「タイカン」が韓国で不評であるとの報道が出ている。テスラの「モデルS」に比べ価格が高いにも関わらず、走行距離が短いなどコスパの面が槍玉に挙がっているようだ。
(参考記事:「韓国の起亜自動車「ニーロEV」が英国で1位に…10月の電気自動車市場」)
ポルシェ・コリアが先月発売した「タイカン(Tycan)」は、4ドアスポーツセダンで、タイカン4Sとタイカンターボ、タイカンターボS の3種類で構成されている。
ポルシェタイカンの韓国での販売価格はエントリーモデルであるタイカン4Sが1億4,560万ウォン(約1,368万円)。タイカンターボが1億9,550万ウォン(1,836万円)、タイカンターボSが2億3,360万ウォン(約2,194万円)である。日本での販売価格より低く設定されているが、決して安くはない。
韓国のオートデイリー(23日)によると、発売前は韓国でもタイカンは「爆発的な関心を集めていた」が、「ポルシェ・コリアが(韓国政府に)電気自動車の購入補助金の申請もしていないにも関わらず、約2年分の契約がすべて完了するほど反応が熱かった」と伝えている。
しかし、走行距離がネックになった。韓国エネルギー公団によると、ポルシェタイカン4Sの韓国内走行可能距離はパフォーマンスバッテリープラス基準で289kmと認証された。これは、ヨーロッパWLTP基準で認証された463kmより174kmも低い。ここから「タイカンの大変な苦労が始まった」とオートデイリーは指摘する。ポルシェ・コリア側は、その国の運転習慣や地形などによって走行距離差が出るとの説明だが、走行距離が37%もダウンするというのは印象が良くない。
オートデイリーは、「テスラより価格が高く走行可能距離が低いのに購入する理由がない」などの消費者の声を紹介し、よりコストパフォーマンスに優れたテスラの「モデルS」と比較。モデルSロングレンジが1億799万ウォン(約1,014万円)、モデルSパフォーマンスが1億3,299万ウォン(1,248万円)であり、走行距離はそれぞれ487km、480kmであり、タイカンよりもコスパが高くなっている。
とはいえ、ポルシェは高いブランド価値を持つことから、ロイヤリティの高いユーザーには問題にならないのかもしれない。
(参考記事:「[特集]世界の電気自動車産業の趨勢と韓国の課題…スタンド数・政府支援など脆弱」)
(参考記事:「ヒュンダイがEV車の韓国販売中止か…火災で事態が悪化 しかし欧州では継続?」)
(参考記事:「韓国でテスラ乗員の死亡事故受け、安全性に疑問噴出…「電気が切れるとドアが開かない」」)
(写真:ポルシェのタイカン=ポルシェ)