韓国科学技術院(KAIST)電気電子工学部のチェ・ギョンチョル教授の研究チームが、情報を表示できる有機発光ダイオード(OLED)電子繊維の開発に成功したことが5月12日に明らかになった。
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電子繊維は実際に着られる素材であり、既存の2次元平面素材とは違って、人体の多様な動きに順応し、優れた着用性と携帯性を提供できる1次元構造である。そのため、次世代フォームファクタ(form-factor)として注目を集めている。特に、光を放出する電子繊維は、ファッション、機能性衣類、医療、安全、自動車のデザインなど、様々な応用可能性を持っている。
しかし、今までの発光電子繊維の研究は、ディスプレイとして活用できない電気光学的性能、素子単位での研究、アスペクト比が高い2次元平面単位での研究が多かったため、応用技術の開発は難しかった。
チェ・ギョンチョル教授の研究チームは、OLED電子繊維ディスプレイの具現のため、高い電気光学的性能の具現とアドレス指定体系の構築に注目した。研究チームは、300マイクロメートル(μm)直径の円筒形状の繊維構造に適合したRGB燐光OLED素子構造を設計し、研究チームの保有する関連技術であるディープコーティング工程を活用することで、平面OLEDに劣らない水準のOLED電子繊維を開発した。
特に、高効率である燐光OLEDを繊維に成功的に適用し、最高で1万cd/m2(カンデラ/平方メートル)の輝度、60cd/A(カンデラ/アンペア)の電流効率を具現することができた。既存の電子繊維技術に対して5倍以上の電流効率を見せたのである。
また、研究チームはOLED電子繊維を基盤にしたディスプレイの安定的な駆動のために、OLED電子繊維の上に接触領域を設計し、アドレス指定体系を構築した。また、文字のような情報をディスプレイに表示し、実用性を確認した。
チェ・ギョンチョル教授の研究チームの関係者は、この電子繊維がディスプレイとして使うために必要な高い輝度、電力消費量を抑えるための高い電流効率、低い駆動電圧、そしてアドレス指定性を揃えたことを明らかにした。
第一著者のファン・ヨンハ博士課程研究員は、「線維基盤ディスプレイの具現に必須的に要求される要素技術の具現に集中した」と説明し、「電子繊維の持つ優れた着用性と携帯性を提供すると同時に、ディスプレイ機能性を具現し、ファッション、機能性衣類など、様々な応用分野に適用できると期待している」と述べた。
この研究は、産業通商資源部の電子部品産業核心技術開発事業とLGディスプレイの支援で遂行された。また、この研究は2月4日、ナノ分野の国際ジャーナル、「Advanced Functional Materials(IF: 16.836)」に掲載され、5月3日には前面表紙論文(Front Cover)として選定された。(論文題目: Bright-Multicolor, Highly Efficient, and Addressable Phosphorescent Organic Light-Emitting Fibers: Toward Wearable Textile Information Displays)
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