一つ一つの穴を調節し、多孔性固体を合成できる技術が開発された。
(参考記事:「UNIST「孔数と強度が増し、自己修復能力も持った多孔性金を開発」と発表」)
ウルサン科学技術大学校(UNIST)化学科のチェ・ウォンヨン、グォン・テヒョク教授の研究チームが、多変量金属-有機物多孔性固体合成する新技術の開発に成功した。金属-有機物多孔性固体は、金属と有機物が結合し、作った気孔構造に多様な化学作用基を組み込むことで気孔の特性を変えることができる。今回開発された合成法で製作した多孔性固体は、様々な種類の化学作用基が添加された多変量多孔性固体であるにも関わらず、一つの気孔には1種類の作用基のみが含まれているという点で、今までの技術より発展している。そのため、今回開発された多孔性固体は、化学作用基の種類と気孔の特性との相関関係の研究に適している。この技術は、気孔を活用した気体の分離・貯蔵素材、触媒素材などのカスタムデザインに活用できると期待されている。
今回開発された合成技術は、金属-有機物多面体(MOPs)を基盤にしている。MOPsは、4面が空いている多面体ケージ(cage)が多数、疎結合で連結された物質である。ケージの頂点は金属イオンで、辺は有機物である。化学作用基は有機物に結合する。
研究チームは、特定の作用基のみを含むMOPsを様々な種類で合成し、合成された多面体ケージを溶媒に溶かし、再結晶化(固体化)する、2段階の合成法を使用した。2段階合成法を用いたため、物質全体には様々な作用基が含まれているが、それぞれの気孔は単一の作用基と結合している多変量固体を合成することができた。既存の合成法では、一つの気孔に様々な作用基が結合していた。
共同第一著者のナム・ドンシク博士統合課程研究員は、「金属-有機多面体の場合、多面体ケージ単位で溶媒に溶かし、再結晶化できるということが今回の合成法の核心的な戦略」と説明した。
共同第一著者のキム・ジヨン博士統合課程研究員は、「一般的な金属-有機多面体は、作用基の種類が変わると多面体ケージのフレームが変化するという特徴があるが、今回合成された物質は、その構造が維持されたという点が特異的である」と説明した。
今回合成された物質は、化学作用基が変わっても構造が維持されるため、作用基の種類による物性の研究に適合している。研究チームは、開発した合成法と既存の合成法で多変量多孔性固体を合成し、このような事実を検証した。既存の合成法の場合、作用基が多面体ケージの辺に無作為で位置しているため、多様な組み合わせの多面体ケージが作られた。一方、新しい合成法の場合、作られたケージの種類の数は、添加された作用基の種類の数と一致した。
研究チームは、質量分析法を用いて分析を行った。多面体を構成する作用基はそれぞれ異なる重さを持っているため、その重さを感知し、作用基を特定したのである。
研究チームは、既存の合成法と新しい合成法を用いて作ったMOPs間の発光特性を比較した。その結果、固体を構成する作用基の比率は同じであるにも関わらず、蛍光発光特性が異なることを確認した。作用基の配列の違いが光物理的特性の違いを生み出すことを立証したのである。
チェ・ウォンヨン教授は、「それぞれの気孔の作用基構成を変え、作用基構成による気孔特性を調べられる技術として意義を持つ」と説明し、「多様な化学的作用基を気孔構造に組み込むことで、応用目標に最適化された気孔特性が発見できるはず」と述べた。
チェ・ウォンヨン教授研究チームのナム・ドンシク、キム・ジヨン、ナム・ジュハン、ジョン・ヘイン研究員と、グォン・テヒョク教授研究チームのファン・ウンヒェ研究員が参加した今回の研究は、5月26日、国際ジャーナル、Cellの姉妹誌であるMatterに掲載された。
この研究は、韓国研究財団(NRF)の中堅研究者支援事業、先導研究センター支援事業(SRC)、気候変化対応技術開発事業、グローバル博士養成事業(GPF)、韓国環境産業技術院(KEITI)の支援で遂行された。
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