半導体など電子品目などを中心に、韓国経済の回復を牽引している輸出が、下半期に大きく鈍化するという懸念が持ち上がっている。
韓国経済研究院(韓経研)が、市場調査専門機関モノリサーチに依頼して、売上高1000社のうち12大輸出主力業種を対象(150社回答)とした調査「2021下半期の輸出見通し調査」によって、そのような懸念が提起された。
調査結果によると、今年下半期の輸出は前年同期比2.3%増加すると予想された。
韓国関税庁の統計によると、今年1月から先月20日までの前年同期比輸出増加率は22.5%を記録している。それと比較すると、今年下半期の輸出増加率は上半期の実績を大きく下回るというのが韓経研の分析となる。
韓国銀行(中央銀行)や韓国開発研究院(KDI)も下半期の輸出増加率の鈍化を予想しており、輸出鈍化の懸念が高まっている。
韓経研今回の調査では、企業数ベースでは、半分以上(55.2%)の企業で今年下半期の輸出が減少すると予想した。業種別で▲電気電子(減少70.0%・増30.0%)▲自動車・自動車部品(63.0%・37.0%)▲バイオヘルス(59.5%・40.5%)▲石油化学・石油製品(52.4%・47.6%)などは、輸出の減少を見込んだ企業が、増加を見込む企業よりも多かった。
一方、▲鉄鋼(46.2%・53.8%)▲一般機械・船舶(31.8%・68.2%)などは、輸出の増加を見込んだ企業が減少を見た企業よりも多いことが分かった。
韓経研は、「下半期、輸出増加企業より減少企業がより多い状況でも、全体の輸出が増加するということは、いくつかの業種や企業が輸出全体の増加を牽引するという意味」であるとし、「輸出も業種や企業ごとに業績が分かれるK字型の二極化現象があらわれ得る」と分析している。
下半期の輸出が前年同期比で減少すると予想している企業は、▲新型コロナウイルス持続による世界貿易の萎縮(44.4%)▲輸出対象国の経済状況の悪化(16.2%)▲ウォン高による価格競争力の悪化(7.4%)などを原因として挙げた。
輸出が増加すると予想した企業の場合、▲新型コロナウイルス緩和と世界経済反発による交易活性化(51.3%)▲輸出対象国の経済状況の改善(19.8%)▲ウォン安による価格競争力の強化(9.6%)などを理由に挙げており、両企業間で新型コロナウイルスに対する状況認識が大きく開いている。
回答企業のうち53.3%は、今年の下半期の輸出採算性(輸出を通じて、企業が稼ぐ利益水準)が前年同期とほぼ同じ水準であると予想した。輸出採算性が改善されると答えた企業は28.7%であり、悪化することが答えた企業は18.0%となった。
今年の下半期、韓国企業が輸出採算性を確保することができる適切なウォン-ドル為替レートは、平均1122ウォン(約1,122円)と集計された。また、損益分岐となる同為替レートは平均1116ウォンであり、今年1月(1097ウォン)と、2月(1112ウォン)レベルの平均為替レートが下半期にも再現された場合、企業が損害を被る恐れがあることが分かった。
企業は、今年の下半期の輸出環境のリスク要因として▲新型コロナウイルス持続(42.9%)▲原材料価格の変動(23.3%)▲ウォン-ドル為替レートの変動性拡大(10.3%)▲韓日関係、米中貿易紛争など外交懸案(8.9% )▲保護貿易主義の拡大(7.5%)などを挙げた。
国内企業の輸出競争力強化のために▲ワクチンの確保などの新型コロナウイルス対応への総力(31.8%)▲金融支援、税制支援などの拡大(18.5%)▲不合理な企業規制の改善(18.3%)▲韓日関係、米中貿易紛争など外交懸案の解決(14.4%)▲新興市場の発掘、輸出先の多様化支援(11.2%)などの政府の政策が必要であると答えている。
今回の調査対象に含まれた12大輸出主力業種は、半導体、一般機械、自動車、石油化学、鉄鋼、石油製品、船舶、自動車部品、ディスプレイ、バイオヘルス、コンピュータ、移動通信機器などで構成されている。
調査は先月3~24日、電話インタビュー(CATI)、ファックス、電子メールの調査で行われたれ、最大許容標本誤差は95%信頼水準で±8.0%ポイントだった。
(参考記事:「[特集]韓国のEV購入補助金の動向と日独米中との比較」)
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