サムスン電子は、2021年「サムスン未来技術育成事業」の指定テーマである研究支援課題12個を発表した。
12個の課題に、計152.1億ウォン(約14.6億円)の研究費が支援される予定だ。
サムスン電子は、サムスン未来技術育成産業の一環として、2014年から国家的に研究が必要な未来科学技術分野の発展のために、指定テーマの課題を選定・支援している。今年を含め現在まで、計103件の研究課題に1059.3億ウォン(約100億円)を支援した。
□今年、アドバンスドAI・次世代暗号システム分野で新たに選定
サムスン電子は、今年の指定テーマである研究支援課題として、▲アドバンスドAI、▲次世代暗号システム、▲B(Beyond)5G&6G、▲ロボット、▲次世代ディスプレイ、▲半導体素材や工程など、計6つの分野で12個を選定した。
今回の指定テーマには、▲次世代暗号システム、▲アドバンスドAIが新しく制定された。
サムスン電子は、様々な科学技術分野の碩学や専門家と国家的な技術開発の必要性や、中長期的な技術発展の方向などを論議し、未来の有望な科学技術の分野を指定テーマとして選定している。
今年は最終的に6個のテーマを指定テーマとして選定し、受け付けられた約200個の課題を2カ月間審査し、今後支援する12個の課題を採択した。
「アドバンスドAI」分野では、延世大学校電気電子工学部のファン・ドシク教授の「循環推論型 人工知能‐自己質疑応答基盤の自動医療診断技術」など、計2個の課題が選定された。
ファン教授の研究チームは、電気工学、コンピューター工学、医学など様々な分野を専攻した3人の教授で構成されている。
ファン教授は、疾病診断時に活用されるCT、MRI、レントゲン、超音波などの様々なデータを総合的に用い、AIが自ら質問と回答を作る過程を繰り返すディープラーニングモデルを開発する計画だ。
専門医の診察過程を精巧に模倣することを目標にする今回の研究が、実際の医療現場に適用されれば、疾病診断の正確性を高めるものと期待される。
「次世代暗号システム」分野では、ソウル大学校・コンピューター工学部のソン・ヨンス教授の「多者間の近似計算暗号源泉技術開発」の課題が選定された。
クラウド内に保管されている敏感な資料の秘密性は維持しつつ、データ分析が可能な技術だ。
個人データの活用に対する権利保護がさらに重要となる状況で、課題が成功すれば、金融や医療、教育などのプライバシーが重要な分野で広く活用されることが予想される。
「ロボット」分野では、仁荷大学校・情報通信工学科のキム・ミング教授の「動的質量中心を持ち、変形可能な物体を人間レベルに操作するための視覚‐触覚認識技術」課題が選定された。
視覚と触覚の情報を融合し、ロボットが人間レベルで物体を扱えるようにする技術開発を目標にする課題だ。
「次世代ディスプレイ」分野では、▲浦項工科大学校・電気電子工学科のチェ・スソク教授の、ホログラム実現のための光源技術の一環である「波長の調節が可能なペロブスカイトナノ結晶基盤画素配列型キラルレーザー(Chiral Laser)研究」、▲東国大学校・物理半導体科学部のチョン・クォンボム教授の「超高解像度PPI(Pixel Per Inch)ディスプレイ用トランジスタ素子のインラインモニタリングのための欠陥イメージ技術開発」など、4個の課題が選定された。
チョン教授の研究は、製品を分解せずに生産過程で欠陥を検出することができ、今後ディスプレイ製品の生産効率を高めることができるものと予想される。
参考記事:韓国の研究チーム、熱電素材を3Dプリントで出力し、熱電発電機の効率を改善
参考記事:韓国の研究チーム、量子粒子を利用した新概念レーザーを開発
参考記事:韓国研究チーム「6G時代を開く電波資源データ転送予測手法を開発」発表