サムスン電子が2021年第2四半期の業績を発表した。連結決算基準で売り上げが63.67兆ウォン(約6兆1億円)、営業利益が12.57兆ウォン(約1兆2052億円)だった。
第2四半期の売り上げは、閑散期や部品の供給不足によりスマートフォンの販売が伸び悩んだにも関わらず、サーバーを中心にメモリの需要に積極的に対応し、プレミアム家電の売れ行きも好調で、第2四半期基準で歴代最高売り上げを記録した。
前年同期比ではメモリ、テレビ、生活家電を中心に20.2%増加した。
営業利益は、メモリの市況が改善し、ファウンドリのオースティン工場が正常化する中、ディスプレイも販売価格の上昇と一回性の収益により業績が改善し、12.57兆ウォンとなった。
セット事業も、部品の供給不足といった難しい状況の中、SCM(サプライチェーン・マネジメント)の積極的な活用などにより堅調な収益性を維持した。
営業利益率は19.7%で、前の四半期や前年の同じ時期に比べて大きく改善した。
[事業別業績]
半導体は、第2四半期の売り上げが22.74兆ウォン(約2兆1800億円)、営業利益が6.93兆ウォン(約6645億円)を記録し、前の四半期や前年の同じ時期に比べて業績が大幅に改善した。
メモリは、出荷量がガイダンスを上回り、価格の上昇幅も予想より大きく、原価競争力も強化された。
システム半導体も、オースティン工場の正常化により利益が増加した。
ディスプレイは、第2四半期の売り上げが6.87兆ウォン(約6588億円)、営業利益が1.28兆ウォン(約1227億円)となった。
中小型ディスプレイの閑散期にも関わらず、全般的な販売価格が上昇し、一回性の収益も発生したため、前の四半期に比べ業績が改善した。
IM(IT & Mobile Communications)部門は、第2四半期の売り上げが22.67兆ウォン(約2兆1734億円)、営業利益が3.24兆ウォン(約3106億円)となった。
無線は、閑散期に加え部品の供給不足や、コロナにより生産に支障が生じるなどした影響で、前の四半期に比べスマートフォンの販売が減少したが、SCMの効率的な活用、原価構造の改善、マーケティングの効率化やタブレット端末・ウェアラブル製品の業績貢献が続いたことにより、堅調な収益性を維持した。
CE(Consumer Electronics)部門は、第2四半期の売り上げが13.40兆ウォン(約1兆2846億円)、営業利益が1.06兆ウォン(約1016億円)となった。
CEはペントアップ (Pent-up)需要が持続し、プレミアム製品の販売を拡大しながら好業績が続いている。
[為替の影響]
為替の影響は、ドル、ユーロ、主要エマージング・マーケットの通貨がウォンに比べてわずかに強く、部品やセット事業全般に渡って、前の四半期に比べ営業利益に約2千億ウォン(約192億円)の肯定的な影響があった。
[下半期の見通し]
下半期の部品事業は全般的に市況が良好とみられ、製品や技術のリーダーシップ向上に力を入れる方針だ。
セットは、プレミアムリーダーシップやラインナップを強化し、持続的に堅調な収益性の達成を推進する予定だ。
しかし、部品供給における支障やコロナ関連の不確実性は続く見通しだ。
事業別では、メモリの場合、新規CPU採用の拡大や主要顧客会社のスマートフォンの新製品発売により、サーバーやモバイルの需要が、持続的に成長することが期待される。
サムスン電子は、15ナノDRAMや6世代V-NANDへの転換の加速化と共に、DRAMに対するEUVの適用を拡大し、市場のリーダーシップを高めていく予定だ。
システム半導体は、スマートフォンの繁忙期突入により、システムLSIの主要製品の需要増加が予想され、ファウンドリは平沢のS5ラインの供給能力の拡大や、未来投資基盤の整備に向けた供給価格の現実化により成長を加速化する計画だ。
ディスプレイは、主要顧客会社の新規フラグシップ製品の発売により、中小型パネルの業績が改善されると予想される中、年内のQDディスプレイ量産体制の構築に集中する予定だ。
無線は、製品の競争力や使用体験を革新したフォルダブル新製品を発売し、フォルダブルの流行を積極的に推進する計画だ。
また、ミドルレンジの5Gモデルも拡大し、ラインナップの競争力を高めると同時に、「ギャラクシー生態系」製品群の販売を持続的に拡大し、堅調な売り上げと利益達成に注力する方針だ。
ネットワークは、北米など主力市場の売り上げ成長や、ヨーロッパなど新規市場の受注拡大を推進する方針だ。
CEは「Neo QLED」、超大型など高付加価値テレビの販売を拡大しプレミアムリーダーシップを強固にし、「ビスポーク(BESPOKE)」グローバル販売の強化を通じて、売り上げ成長に注力する予定だ。
[設備投資]
第2四半期の設備投資は13.6兆ウォン(約1兆3039億円)で、事業別では半導体12.5兆ウォン(約1兆1984億円)、ディスプレイ0.6兆ウォン(約575億円)だ。
上半期の累計では23.3兆ウォン(約2兆2333億円)が執行され、半導体が20.9兆ウォン(約2兆33億円)、ディスプレイが1.4兆ウォン(約1342億円)となっている。
メモリの場合、今後の需要増加に対応するため、平沢と西安の増設やプロセス転換に投資が集中した。ファウンドリはEUV 5ナノなどの増設を中心に投資が執行された。