(画像出典:POSTECH)
韓国大学新聞は、POSTECH(キム·ムファン総長、ポハン工科大学校)研究チームが4日、原子の厚みの金属薄膜を持つ「コア(core)@シェル(shell)」ナノ結晶を利用し、プラズモン光触媒の性能を画期的に向上させる技術を開発したとのニュースを報じている。
シェルに囲まれたコア構造を持つコア@シェルナノ結晶は、コアとシェルを成す異なる物質のシナジー効果を活用して触媒、電子、ディスプレイ分野などに応用できる。特に光を浴びると表面が活性化する光学性質を持つプラズモンナノ粒子(金·銀)で、コアの表面を触媒として高い活性を持つ金属(白金·パラジウム·ロジウム·ルビジウム)シェルでコーティングすれば、光エネルギーを化学エネルギーに変換する光・触媒ハイブリッドシステムの開発が期待できるという。
効率的な光・触媒ハイブリッドシステムを形成するためにはプラズモンコアに極めて薄い金属シェルをコーティングする技術が必要である。しかし、これまでに知られている方法を用いると、分厚い金属シェルが形成されたり、コア物質に変形·損傷を生じさせることになり、コア物質のプラズモン特性を大きく損なう問題を有するとされてきた。
イ·インス化学科教授の研究チームは、中空になったシリカナノ粒子の内部空間にプラズモンナノ結晶を入れることで、従来の方法で厚いシェルの成長を起こしていた要素を取り除くと同時に、プラズモンナノ粒子が溶液の中で個別に分離できるナノ空間限定システムを作った。ここに光源を照射してプラズモンナノ結晶の表面を単原子厚の非常に薄く均一な金属薄膜でコーティングすることに成功した。まるでカプセルの中に入っている錠剤の表面を薄い膜でコーティングするような手法だ。
このように薄くコーティングされた金属薄膜は、コア物質の光学的特性に影響を及ぼすことなく、シェルの触媒性能とコア物質のプラズモン特性が効果的に結合されたハイブリッド光触媒物質を合成することができた。
特に、プラズモン金のナノ棒に白金薄膜を薄くコーティングさせた金@白金ハイブリッドナノ結晶は、近赤外線をエネルギー源として使用し有機分子を変換する光触媒反応で、非常に高いエネルギー転換率と速い触媒反応の速度を示し、何度も繰り返し使用した後も触媒の活性には損失がなかった。
それだけでなく、この方法を用いれば、異なる表面曲率を持つ多様なプラズモンナノ粒子表面を、それぞれ別の光源を用いて独立的にコーティングし活性化することができ、混合した触媒物質の中から特定の触媒の活性を選択的に遠隔制御することが出来る。
イ教授は「今回の研究で開発した合成方法により、様々な形のプラズモンナノ粒子表面に触媒活性金属を原子単位で薄くコーティングすることができた」とし、「ナノ粒子のプラズモン特性がよく保存されたハイブリッドシステムは金属シェルとのシナジーにより持続可能なエネルギー変換、生命工学、生物医学分野など様々な分野で高効率光触媒として使用できるだろう」と期待感を示した。
化学分野の世界的権威誌である「アメリカ化学会誌(J. Am. Chem. Soc.)」により発表されたこの研究成果は、様々な活用可能性から関心を集め、表紙論文としても紹介された。
本研究は韓国研究財団リーダー研究者支援事業、創意·挑戦研究基盤支援事業を支援で行われた。
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