電気自動車(EV)の普及が拡大し、2次電池が次世代の中核産業として急浮上している。これに対しLG、サムスン、SKなど韓国国内バッテリーメーカーが2次電池の主要素材を狙った技術力競争および市場シェア獲得に向けて社運をかけた取り組みを行っている。
30日、業界によると、韓国国内のバッテリー素材企業は大規模投資を通じて生産規模を拡大し、素材投資を通じたサプライチェーンの拡大に拍車をかけている。実際、LG化学は2025年までに正極材と分離膜、陰極バインダーなどバッテリー素材に6兆ウォン(約5698億円)を投資し、正極材の生産能力を年4万トンから26万トンに増やす予定だという。
LG化学は、正極材の生産設備の増設が行われれば、LGエナジーソリューションの正極材の独自供給比率が30%から最大50%まで増えるものと見ている。バッテリー子会社のLGエナジーソリューションとのシナジー効果を極大化し、サプライチェーンを多角化するという目標だ。
SKイノベーションは分離膜生産子会社であるアイテクノロジーを上場し、1兆1300億ウォン(約1073億円)を投入してポーランド工場の増設に乗り出した。分離膜事業に5年間5兆ウォン(約4748億円)を投資し、現在14億平方メートルのリチウムイオン電池分離膜(LiBS)の生産規模を2023年に21億平方メートルにまで育成し、2025年には40億平方メートルに拡大する計画だ。また、正極材の独自生産のため、中国のバッテリー企業「EVEエナジー」と素材専門企業「BTR」などと共同投資し、正極材生産合弁法人を設立することにした。
サムスンSDIは先月、正極材製造子会社のエスティエムに新規正極材ラインと工場ビルを譲渡した。譲渡規模は1097億ウォン(約104億円)水準で、譲渡は第3四半期中に完了する計画だ。正極材投資資金を造成するため、エスティエムの1500億ウォン(約143億円)規模の有償増資にも参加することにした。正極材の内製化の割合を高め、安定的な需給を通じてバッテリー事業の競争力を強化するという戦略だ。
このほか、ポスコケミカルも中国に2次電池素材工場を建設し、海外進出を本格化する。ポスコケミカルが海外にあるバッテリー素材の生産施設に投資するのは今回が初めてだ。ポスコケミカルは、ポスコグループと中国のファユコバルトが中国で運営している正極材および前駆体の合弁法人の生産ラインの増設に、計2810億ウォン(約267億円)を投資することを決めた。
今回のポスコケミカルの投資で、現在正極材と前駆体それぞれ年5000トン規模に生産3万トンが追加され、生産能力は計3万5000トンに増える。正極材3万5000トンは60kWh級電気自動車バッテリー約39万台に使える量だ。ポスコケミカルは、電気自動車の需要が急増している米国や欧州などにも現地法人の設立を推進している。これを通じ、2025年までに国内16万トン、海外11万トンのグローバル・サプライチェーンを構築する計画だ。
現代(ヒュンダイ)オイルバンクもバッテリー素材事業への進出を推進している。現代(ヒュンダイ)オイルバンクは、電気車バッテリーの核心素材の一つである分離膜に使われる超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)事業の基盤を固めている。
バッテリー業界の関係者は「正極材市場の需要だけでも2025年に274万9000トンと、2019年(45万6000トン)比約6倍増加する見通しだ。市場規模も2021年39兆ウォン(約3兆7037億円)から2025年296億ドル(約34兆ウォン、約3兆2289億円)に達する見通しだ」とし「2次電池電池需要が急増し、今後メーカー間の競争も激しくなる」と述べた。韓国アジアトゥデイ社が伝えた。
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