中国企業がバッテリーに続いてディスプレイでも1位に浮上した。巨大な内需市場と中国政府の支援を背景にした結果だ。収益拡大は大規模投資につながっている。質的にも成長しているため、韓国メーカーは非常事態となっている。韓国Digitaldaily社が報じた。
BOEは9月1日、2021年上半期の業績を公開した。売上1073億元(約1兆8300億円)、純利益128億元(約2200億円)で、過去最大値を達成した。それぞれ前年同期比89.04%と1023.96%増加したという。
同期間、サムスンディスプレイとLGディスプレイは、それぞれ13兆7900億ウォン(約1兆3000億円)、13兆8500億ウォン(約1兆3100億円)を記録した。営業利益は1兆6400億ウォン(約1600億円)と1兆2240億ウォン(約1200億円)だ。両社の営業利益は、前年同期比327%上昇および黒字転換した。
両社とも業績は好調だったが、BOEの勢いには勝てなかった。BOEの上半期の業績が、サムスンディスプレイとLGディスプレイを上回ったのは史上初だ。
今回の明暗は液晶ディスプレイ(LCD)の結果で分かれることとなった。数年前から中国ディスプレイメーカーは、低価格攻勢を通じてLCD市場を掌握した。一方の韓国メーカーは、旬の過ぎたLCDの代わりに有機発光ダイオード(OLED)事業に集中することにした。
しかし新型コロナウイルスの影響で、非対面が日常化したことで潮目が変わった。テレビやノートパソコンなどの需要が増え、LCDの価値が急騰したためだ。スマートフォンの場合、OLEDの割合が50%以上まで上がったが、残りの分野ではLCDがシェア90%以上を占めるほど圧倒的だ。
テレビ市場1~2位のサムスン電子とLG電子も、BOEなどが製造する中国LCDを活用する。価格交渉において優位に立つ中国メーカーは、LCD価格を継続して引き上げた。今年下半期に入り、下落傾向に転換したが、依然として昨年対比2倍以上高い状態だ。結果的にBOEは業績が大幅に向上し、サムスン電子などは原価負担が拡大した。
問題は、このような流れがOLEDへとつながりかねないことだ。これまでBOEは中国政府の支援を通じて、大型投資を進めてきた。業績改善で資金調達まで可能になった。
現在BOEは、第6世代OLED工場B7(成都)とB11(綿陽)を稼働している。3番目のラインB12は、重慶に設けられている。年内に稼働する予定だ。本格稼働時、中小型OLED1位のサムスンディスプレイに劣らない生産能力を備えることになる。CSOTなどは、LGディスプレイが独占している大型OLED攻略に乗り出している。
BOEは米国制裁の影響で、スマートフォン事業の障害をきたしたファーウェイの代わりに、アップルとサムスン電子のフラッグシップモデルのパネル供給に挑戦している。まだ正式数量の納品に成功していないが、可能性は益々高まっている。すでに保守用iPhoneのOLED供給を始めており、サムスン電子の中低価格帯スマートフォンにOLEDを搭載するものと見られる。大型顧客企業の供給網に入ったという点で意味がある。
危機意識を感じたサムスンディスプレイとLGディスプレイは、約4年ぶりに中小型OLED投資に乗り出すことにした。サムスンディスプレイはLCDファブの一部をOLED専用に転換する計画で、LGディスプレイは京畿道・坡州に3兆3000億ウォン(約3100億円)を投じて、新規生産ラインを構築すると発表した。BOEの追撃が手強いため、競争激化が懸念される状況だ。

バッテリー市場シェア1位の中国CATL
バッテリー市場では、中国CATLの勢いが尋常でない。大規模投資を通じてトップの座を守り抜くという意図だ。
市場調査機関SNEリサーチによると、CATLは今年上半期の電気自動車バッテリー使用量1位を占めた。計231.7ギガワット(GWh)で、前年同期比231.7%増加した。2位のLGエナジーソリューションも昨年上半期より170.9%上昇した28.1GWhを記録したが、CATLに押された。9月1日に発表された7月の使用量でも、CATLは7.4GWhで、LGエナジーソリューション(5.1GWh)と格差を広げた。
これは業績にも表れている。CATLは2021年上半期の売上441億元(約7500億円)、純利益45億元(約770億円)だった。それぞれ前年同期比134.1%と131.5%増加した。過去最大の業績だ。
CATLはバッテリー工場増設の最中だ。建設中のドイツ工場は、早ければ今年末にも稼働する。稼働時、年内バッテリーの生産能力が200GWhまで拡大される。昨年基準で韓国バッテリー3社の物量に匹敵する水準だ。
今年6月には、テスラの上海ギガファクトリー近くの敷地に新工場を設立する予定だという。中国福建省、四川省、江蘇省などやインドネシア、日本などにも生産ラインを設ける計画だ。
CATLは、リン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーを前面に出し、自動車メーカーを攻略している。ニッケル・コバルト・マンガン(NCM)バッテリー対比エネルギー密度の面で劣るが、安定性と価格で優位を見せている。これを通じて、テスラ、BMW、フォルクスワーゲンなどと取引を始めた。吉利自動車やBYDなどの中国メーカーはもとより、グローバルメーカーまで確保したわけだ。
今年7月、CATLはナトリウムイオンバッテリーを公開した。リチウムコバルトなど高価な鉱物の代わりに、ナトリウムを活用して原価削減に乗り出す。2023年まで供給網を構築する方針だ。現実化すれば価格競争力が大幅に上昇することになる。
ディスプレイと違い、バッテリーは素材市場まで中国が握っている。業界によると、昨年中国メーカーのシェアは、△正極材57.8%、△陰極剤66.4%、△分離膜54.6%、△電解質71.7%などだ。正極材の原料である前駆体をはじめ、リチウム、ニッケル、マンガン、アルミニウムなども中国が主導する分野だ。CATLの上昇傾向が当分続くという意味だ。
一方、LGエナジーソリューションは最近、ヒュンダイ自動車やゼネラルモーターズ(GM)のリコールで忙しい状況だ。SKイノベーションとの訴訟戦やエネルギー貯蔵装置(ESS)火災に続き、また別の悪材料が登場したわけだ。企業公開(IOP)の日程が遅れる可能性まで提起されている。
バッテリー業界の関係者は「低価格攻勢を前面に出したCATLの成長傾向が恐ろしいほどだ」とし「韓国メーカーも増設に乗り出しているが、様々な問題が重なり、足を引っ張られている。重要な時期だけに、早く克服できなければ格差が広がる可能性がある」と言及した。
参考記事:下がり続けるLCD価格、韓国ディスプレイ・テレビ会社への影響は?
参考記事:サムスンDのLCD供給中断を埋める中国企業は?
参考記事:LGディスプレイの好業績はLCD価格上昇が牽引…韓国証券社