今年度始めからのグローバルファウンドリ(半導体受託生産)企業の半導体価格の引き上げが完成品価格にも影響している。グローバルファウンドリでシェア1位である台湾TSMCのアプリケーションプロセッサ(AP)を搭載するアップルのiPhone 13は、歴代最高価格で発売されると予想されている。さらにTSMCは半導体価格を最大20%引き上げることを発表し、他のファウンドリ企業も供給価格を引き上げると予想されるため、業界は完成品価格の上昇は不可避であると分析している。
7月30日、業界によると、TSMCが20%値上げ計画を発表したことで、サムスン電子、DB HiTek、SMICなど、ファウンドリ企業の供給価格も上昇する可能性が大きくなった。業界の関係者は、「昨年度からサムスン電子など、ファウンドリ企業の供給価格が全般的に値上がりした」と述べ、「先導企業の値上げが後発企業の値上げを誘発するとは限らないが、供給より需要が大きい状況が持続する場合、他の企業も一斉に値上げする可能性が高い」と説明した。
半導体供給不足事態が長期化した昨年度から、ファウンドリ企業は生産単価を上げている。業界によると、車両用、スマートフォン用、パソコン用、家電用などの半導体価格は平均10%~20%上昇している。
半導体の供給価格が上昇したことにより、半導体を使用した製品の価格も上昇している。実際に、来月から予約販売を開始するアップルのiPhone 13の価格は歴代最高価格になると予想されている。iPhone 13にはTSMCの5ナノ工程を適用したA15チップが搭載される。中国のIT専門メディアGizChinaは、「iPhone 13 PROモデルに1TBが追加され、2052ドル(約23万円)という歴代最高価格になる」と予想した。半導体価格上昇がスマートフォン価格に反映されたのである。
TSMCが今回予告した7ナノ以下の微細工程の値上げ幅は3%~10%程度である。アップルの半導体購入価格は最大5%上昇するとの予測もされている。TSMC半導体価格の上昇で、iPhoneの値上げは不可避であると展望されている。
業界では、今年度の半導体不足状況が持続的であり、グローバル半導体競争が過熱しているため、ファウンドリ供給価格は短期間では下落しないと予想している。半導体超微細競争の激化により、工程設備投資費用とハイスペック人材雇用など、全体的な費用が増加している。また、TSMC、インテル、サムスン電子などのファウンドリ企業は大規模の投資を準備している。
韓国インチョン大学校インベディッドシステム工学科のジョ・ジュンフィ教授は、「企業は単純に利益を上げるために値上げしているのではない。値上げの要因を考えなければならない」と述べ、「半導体の微細化で素材、部品、装備の価格など、費用が増加し、高級人力維持費用も上がっている。また、設計製造工程が複雑化したことで、歩留まりの問題も発生しているはず」と説明した。
半導体価格の影響で、自動車、スマートフォン、家電、パソコンなどの完成品の価格も上昇しつつあり、影響はますます拡大すると予想されている。すでに中国最大のパソコン企業、Lenovoは追加値上げを予告している。また、アマゾンも台湾のパソコンメーカーASUSの人気ラップトップモデルの価格を900ドルから950ドルに上げた。ジョ・ジュンフィ教授は、「スマートフォン、自動車など、すべての製品に半導体が使われている」と述べ、「プレミアム製品にはより良い半導体が使われる。消費者価格の上昇は当然な現象」と説明した。
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