サムスン、イメージセンサ1位ソニーに対し「2億画素」の壁を越え追撃

サムスン電子が業界初の「2億画素」を実現したモバイルイメージセンサの開発に成功し、業界1位のソニーを猛追している。韓国の緑色経済新聞が報じた。

イメージセンサ市場でソニーより後発走者として出発したサムスンが、画素の微細化技術においてはすでにソニーを越えたというのが業界の定説で、両社のシェアの差が時間が経つにつれて縮まってきていることも事実だ。

スマートフォンカメラの高スペック技術に対するニーズが日を追うごとに増加し、自動運転電気自動車などが拡大するにつれ、イメージセンサ市場の見通しが段々明るくなっている状況の中、サムスンが独自の技術をもとに業界1位の座を席巻できるかが注目される。

サムスン電子の関係者は緑色経済新聞に「サムスンは今年、0.64㎛(マイクロメートル)画素のイメージセンサを発売して業界内に現存する最小サイズを実現し、合わせて今回の新技術により2億ピクセルの壁を越えたのは、サムスンが業界初」とし、「業界内でも、イメージセンサ市場を今後も拡大し続ける市場として判断しており、今後の市場の反応を見る必要があるが、サムスンも市場シェアをより拡大するために様々な製品群を確保し、新技術の開発に拍車をかけている」と述べた。

サムスン、イメージセンサ新技術2種公開…「業界初『2億画素』、業界最小デュアルピクセル実現」

今月7日、業界によると、サムスン電子は「2億画素」を実現したモバイルイメージセンサ「ISOCELL HP1」と、業界最小サイズのデュアルピクセル(Dual Pixel)イメージセンサ「ISOCELL GN5」を公開し、CMOSイメージセンサ(CIS)市場で圧倒的技術力を見せつけた。

カメラ機器などに使われるイメージセンサは、簡単に言えばカメラのフィルムのような役割をし、レンズを通して入ってくる光を電気的デジタル信号に変換し、ディスプレイ装置に撮影した写真を表示するようにする半導体だ。

この中でも、携帯電話、タブレットPCなどカメラ機能が搭載されたモバイル機器の市場が拡大し、コア部品として注目されているのがCISだ。

日に日にスマートフォンカメラに高い性能が要求されるようになり、最近CISは最大限小さいチップに多くのピクセル数を実現することが重要になり、メーカーはこのためにピクセルのサイズを小さくする技術の開発に専念している。

ただ、ピクセルが小さいほど、十分な光を吸収することが難しいため、この技術にはイメージセンサが光をどれだけ取り入れられるか、受光率を高める方向の技術開発も必要だ。

2020年イメージセンサ市場規模(Yole Developpment)

サムスン電子はCISの性能の限界を越えようと研究を重ねた結果、ピクセルのサイズを小さくしつつ受光率を高めた「ISOCELL」の開発に成功しその後、独自の新技術を開発しながら製品の性能を高めてきた。

ISOCELLは、イメージセンサを構成しているピクセルとピクセルの間に絶縁部を立て、互いを隔離させることでピクセルに入ってくる光が外に出ないようにする技術で、各ピクセルに入ってきた光が他のピクセルに影響を与えないように光の損失を減らし、カメラ性能を高める方式だ。

サムスンが今回公開した「ISOCELL HP1」は、ピクセル間の影響による光の損失を減らしつつも、ピクセル数は大幅に増やしたことが最大の特徴だ。

サムスン電子の関係者は「今回の新製品は昨年発売した1億8百万画素のイメージセンサより性能をさらに高め、業界初の2億画素を実現した製品」とし、「0.64マイクロメートルのピクセルを利用し、既存の1億8百万画素製品に比べ画素数を約85%多く搭載しながらも、オプティカルフォーマット(カメラレンズを通して入ってくるイメージが認識される領域の直径)のサイズ増加は最小化した」と述べた。

特に、独自の新技術「カメレオンセル(ChameleonCell)」を今回初めて採用し、昼、夜、屋外、屋内など撮影環境によって隣接ピクセルの受光面積を調節でき、いつでもどこでも高画質の写真を体験できるとメーカーは説明した。

合わせて、「デュアルピクセル」イメージセンサでも、業界最小サイズを作ることに成功した。製品名は「ISOCELL GN5」、1/1.57インチのオプティカルフォーマットに1.0マイクロメートルのピクセルが5千万個使われている。

サムスン電子は、すべてのピクセルが2つのフォトダイオードを搭載したデュアルピクセル製品に、既存の左、右の位相差のみ活用可能だったものを、上下左右の位相差をすべて活用できるようにする「デュアルピクセルプロ」技術を採用し、ピクセル間に絶縁部を形成するFDTI工法を今回のデュアルピクセル構造に初めて最適化した。

サムスンによると、ISOCELL GN5は、ピクセルのサイズを1.0マイクロメートルまで小さくしつつ、1.2マイクロメートルのデュアルピクセル製品と同一レベルの性能を備えており、カラーフィルターの再配置アルゴリズムを通じて1億画素の高画質写真も撮影することができる。

市場の見通し「32兆8000億ウォン(約3兆892億円)」を巡り疾走するサムスン、モバイルを越え自動車ラインナップまで拡大しソニー脅かす

サムスン電子のCIS新製品の知らせに最も注目しているのは当然、業界1位のソニーだ。最近イメージセンサ市場におけるサムスンの勢いが激しいためだ。

フランスの半導体市場調査会社のYole Developpementの報告書によると、昨年グローバルCIS市場でソニーのシェアは前年比2%減少し40%をとなり、2位のサムスン電子は前年比1%増加し22%となった。

売上額部門でも、サムスンは前年比13%増加した一方、ソニーは5%減少した。

重要なのは、市場内のサムスンの立場が持続的に上がっている点だ。2014年まで、当時2位だったオムニビジョンに押され業界3位だったサムスンは2018年以降、シェア20%を超えた。

サムスンとソニーの両社は、イメージセンサの画素サイズを小さくする技術においても、相互競争を繰り返してきたが、2019年にサムスンが0.7マイクロメートルを実現したのに続き、今年6月に0.64マイクロメートルまで小さくすることに成功した一方、ソニーは昨年0.8マイクロメートル画素を開発した後、今まで最新のニュースはない。

サムスン電子はさらに、モバイル用イメージセンサから自動車用製品の開発にも踏み込み事業拡大を続けている。

今年7月、サムスンは自動車用イメージセンサ「ISOCELL Auto 4AC」を発売し、本格的なイメージセンサ製品のラインナップ拡大を宣言した。

サムスン電子の関係者は「ISOCELL Auto 4ACは、最先端『コーナーピクセル』技術が初めて採用され、極限環境でも死角地帯を最小化するなど正確な道路走行情報を運転者に提供し、安全な走行をアシストする自動車用イメージセンサ」とし、「サラウンドビューモニター、後方カメラだけでなく、自動運転、インキャビン(in-cabin)カメラなどにより、自動車用イメージセンサのラインナップを拡大していく予定」と述べた。

一方、グローバルイメージセンサ市場の見通しはとても明るい。Yole Developpementによると、今年のイメージセンサ市場の売上額は約24兆2470億ウォン(約2兆2828億円)で、史上最大規模と予想され、今後5年間、毎年平均5.4%の成長率を記録し、2026年には32兆8843億ウォン(約3兆971億円)に達する見通しだ。

参考記事:サムスン電子が世界初の「2億画素イメージセンサ」開発、ソニーを猛追
参考記事:サムスン電子、自動車のイメージセンサー「アイソセルオート4AC」を発売
参考記事:画像センサー市場、ソニーとサムスンのシェア差が縮小 58%→17%

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