7日、現代(ヒュンダイ)自動車グループは、2040年のカーボンニュートラル完成という目標のもと、グループ内の水素事業の現在と未来を予測することができる成果物をオンラインイベントである「ハイドロジェンウェーブ」を通じて披露した。世界の自動車メーカーを対象に、将来のグローバル水素経済市場で現代グループが主導権を握るという宣言をしたものである。韓国メディアInsight Koreaが報じた。
この日、日本ではトヨタがカーボンニュートラルを宣言するイベントを行っていた。メディア・投資家対象の説明会として開催され、バッテリーについての内容が大部分を占めた。 2030年までに車両とバッテリーの統合開発を通じて、車両あたりの生産コストを50%以下に下げ、顧客のニーズに合わせて200GWh以上のバッテリーを供給するというものであり、ここに1兆5000億ウォン(約1400億円)を投資する計画だという。
世界の自動車市場で現代車グループとトヨタはライバルであり、世界の自動車販売台数1位のトヨタを現代自動車グループが追撃している形だ。しかし、将来の水素経済市場においては現代自動車が世界1位の座を占めるというのが「ハイドロジェンウェーブ」のイベントの大きな趣旨だ。偶然にも同じ日に行われた両社のカーボンニュートラル宣言は「ライバル構図」を連想させた。
現代とトヨタは、長い間水素電気自動車においてライバル関係を維持している。 2013年に現代自動車が最初に水素電気自動車「ツーソンix35」を披露し、翌年の2014年トヨタが「MIRAI」を市場に出して市場をリードした。以後、2018年にリリースした現代車「ネクソ」が、現在まで世界の水素電気自動車市場シェア1位を維持している。
昨年12月にトヨタがMIRAIの第2世代モデルを発売した後、両モデルのシェア格差は急激に減少した。現代自動車も年式変更モデルのネクソ2021を出したが、MIRAI2の成長速度が上回っている。エネルギー市場調査機関SNEリサーチによると、トヨタの前年同期比の売上高成長率が768.6%に達するとのこと。一方、現代自動車の成長率は44%にとどまった。今年1〜7月までのシェアは現代自動車51.2%、トヨタ40.1%となった。
もう少し時間が経過すればトヨタが追い越す可能性が高い。ネクソ次世代モデルは2023年に発売する予定であると言われている。 SNEリサーチの関係者は「2020年には現代自動車が圧倒的だったが、今年は両者の対決構図が加速し、トヨタが猛追する形となるだろう」とし、「現代自動車は競争力を高め、市場戦略を整備することはもちろん、追加の新モデルの研究開発などにも拍車をかけなければならないものと見られる」と述べた。
水素燃料電池スタック、価格は下がり効率は高く
MIRAI2は、技術的にネクソを上回るという評価だ。 1回の充電での最大走行距離はMIRAI2が850km、ネクソが605kmだ。水素電気自動車における今後の競争力は、価格は下げつつも性能は向上させる技術にあると言え、内燃機関車エンジンの役割を果たす水素燃料電池スタックは、競争力のある技術の集合体と言うことができる。電気自動車は、車体の底にバッテリーが敷かれるが、水素電気自動車は同じ場所に水素タンクが敷かれる。水素燃料電池スタックは、電気を生成する水素燃料電池と電気を出力する電池を組み合わせたものと見られる。
現代自動車グループはハイドロジェンウェーブで第3世代の水素燃料電池システムを公開した。第2世代よりも体積は30%小さく、出力は2倍改善した。価格も50%以上下げる計画とのことである。 2023年商用化予定でネクソ2世代にも適用される可能性が高い。
第2世代MIRAIに採用された水素燃料電池スタックは、第1世代比で重さは41%減少したが、出力は114kwから128kwへと若干の改善を見せた。軽量化とスタックエネルギー効率の改善、水素タンク容量の改善などで、第2世代MIRAIの走行距離は前の世代よりも30%改善し850kmを達成することができた。
イ・ジェイル ユジン投資証券研究員は「この程度のレベルは現代自動車の水素関連技術においては十分に達成可能」とし「水素車は現代自動車グループの独自の強みであり、差別化ポイントとして、将来カーボンニュートラルの目標を達成する為に重要な軸を担当することになるだろう」との見通しをした。
現在、ドイツのミュンヘンで開かれている「IAAモビリティ2021」でBMW初の水素電気自動車モデル「ix5ハイドロジェン」が公開された。 2023年にネクソ、MIRAIと3巴の戦いになると予想される。MIRAI2がネクソを追い抜けるかは未知数だ。しかし、ネクソの次世代モデルが2023年というのが気にかかる。今後乗用水素電気自動車市場は、誰がどれだけ早く技術を開発し、搭載できるかにかかっている様だ。
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