慶北大、低周波でも安定駆動可能な高効率液晶素子をLGDと共同開発

慶北(キョンブク)大学は9日、電子工学部のキム·ハクリン教授チームが梨花(イファ)女子大学のパク·ヨンギョン教授チームとLGディスプレイとの共同研究を通じて、低周波でもイメージ点滅現象のない安定的駆動で電力効率を高めた液晶素子を開発したと発表した。韓国メディアnewsisが報じた。

モバイル機器でバッテリーの電力消耗量が最も多いのは液晶ディスプレイ駆動だ。

最近、液晶解像度が高くなり、画面サイズが大きくなるにつれ、必要な電力量も増えている。

そのため、パネルの電力消耗を軽減させ、バッテリーの限界を解決するための多様な研究が行われており、パネル低周波駆動方式がLCD及びOLED分野でも非常に効果的な解決方法として採用されている。

液晶パネル駆動周波数が低くなるほど電力消耗は減少するが、LCDの場合、液晶セル内部に存在する電荷移動で、特定周波数以下の条件では肉眼で観測される「イメージ点滅(image flicker)」現象が現われる。

パネル駆動の周波数が低くなるほど、この現象はますます激しくなる。このため、商業的に可能な周波数レベルは20~30Hzの間に限られる。

研究チームは、液晶配向膜(液晶の方向を決定する薄い膜)内部に炭素ナノ物質の「フラーレン(fullerene)」をドーピングし、極めて低い周波数条件でイメージを点滅させずに安定的に駆動可能な液晶素子を開発した。

配向膜内部にドーピングされたフラーレンにより液晶セル内部の移動可能な電荷が、配向膜表面と界面(異なる二つの相の境界面)にトラッピング(trapping)され、液晶セルに認可される電場による電荷の移動が減少することになる。

配向膜にドーピングしなかった時より3.38%水準で電場によって移動される電荷量が減少し、低周波駆動時でもイメージ点滅現象なく電圧が安定して維持できた。

キム·ハクリン教授は「人の視感特性を考慮すると、0.2Hz水準の直流信号に近い極限の低周波駆動条件でもイメージ点滅なく低電力駆動が可能であることを確認した」とし「今回の研究はモバイル機器のバッテリー電力を画期的に改善できる技術として大きな意義がある」と明らかにした。

一方、今回の研究論文の著者はキム·ハクリン教授、共同第1著者は慶北大学電子工学部のチェ·ジュンチャン博士課程生とイ・ジェウォン博士課程生だ。

研究結果は、世界的な研究専門ジャーナルであるドイツのワイリー出版社(WILEY-VCH)が発刊する著名な学術誌「アドバンスド·エンジニアリング·マテリアルズ(Advanced Engineering Materials)」9月号の表紙論文として掲載された。

参考記事:「800万ウォン台の8Kテレビも可能に」次世代ディスプレイ工程を開発

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