最近、日本のトヨタが公式YouTubeチャンネルを通じて、世界で初めて全固体電池が搭載された電気自動車(EV)を公開した。バッテリーを構成している全ての素材が固体からなる全固体電池は、充電時間が短く移動距離が長く、技術力では従来のリチウムイオン2次電池を上回っているという評価を受けている。業界は、全固体電池が商用化されれば、世界の電気車向けバッテリー市場の勢力図が変わるだろうと見ている。しかし、まだ技術的に乗り越えなければならない課題が多いだけでなく、大量生産までには短くて5年、長くて10年以上かかるものと予想されている。韓国毎日経済が報じた。
10日、業界によると、全固体電池が搭載された車両を公開したトヨタは現在、バッテリー耐久性の低下問題を解決するため、データ収集や材料開発に乗り出している。
今年5月の業績発表でもトヨタは「全固体電池に活用できる材料の開発に乗り出している」とし、商用化が容易ではないことを示唆していた。このためか、トヨタは全固体電池をハイブリッド車にまず搭載した後、販売する計画だと伝えた。ただ、具体的な搭載時期と量産時期については一切公開しなかった。トヨタは2025年に全固体バッテリーの商用化に乗り出す計画だが、業界は容易ではないと見ている。
「夢のバッテリー」と呼ばれる全固体電池の商用化が容易でない状況で、直ちに増える電気車市場に対応するため、バッテリー業界は既存リチウムイオン二次電池の性能向上に力を入れている。数兆ウォン(数千億円)単位の大規模生産施設投資が行われているだけに工場生産ラインは大きく変えないまま、正極材・負極材などの素材開発と工程効率を通じて、価格は下げながらも走行距離を伸ばした電池の開発に乗り出しているのだ。
現在、LGエナジーソリューションやSKイノベーション、サムスンSDIなど、国内バッテリーメーカー各社が我先にと、次世代リチウムイオン2次電池を発売し、市場をリードしている。
LGエナジーソリューションはNCMA(ニッケル、コバルト、マンガン、アルミ)正極材を適用したバッテリーを生産し、来年1月から供給する。SKイノベーションもニッケルとコバルト、マンガンの割合を8対1対1で混ぜた正極材を適用した「NCM811」バッテリーを2016年に世界で初めて開発し、2018年から量産して起亜(キア)「ニロ」電気自動車に納品してきた。サムスンSDIは先月から、次世代バッテリー「ジェン5」をハンガリー工場で量産している。ジェン5にはニッケル含量が88%のNCA正極材が搭載される。従来のバッテリーよりニッケル含量を引き上げ、エネルギー密度を20%以上高め、1kwh(キロワット時)当たりのバッテリー原価は20%程度引き下げたという。ジェン5基盤のバッテリーはBMWをはじめ、ロールスロイスなどに適用される。
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