GAFAMに代表されるビックテックや完成車メーカーなど、グローバル企業を中心に、半導体の独自開発の動きが本格化している。半導体を委託生産する韓国ファウンドリ業界にも、新たなチャンスになる見通しだ。サムスン電子などの関連企業が、車両向け半導体のM&Aに乗り出す可能性も持ち上がっているという。韓国ブリッジ経済が報じた。
17日、業界によると、現代(ヒュンダイ)自動車は、自社車両向け半導体の独自開発に乗り出す予定だ。グローバル半導体の供給難で車両用半導体に対する依存度を減らすための自助策である。半導体開発は、現代オートローンなどの半導体部門を買収した現代モービスなどが主軸になって進められる見通しだ。
テスラも独自開発したチップを車に装着している。今年8月には半導体D1を発表した。トヨタも「ルネサス」に対する持ち分投資とともに、電装メーカーのデンソーなどと半導体合弁法人設立を通じ、車両向け半導体の内製化に力を入れている。
自動車メーカーが相次いで車両向け半導体の独自開発に乗り出したのは、半導体の調達難による自動車メーカーの生産打撃が長期化しているためだ。IHSマークィットは今年8月、今年の世界的な車両生産減少台数が最大710万台に達するとの見通しを示している。第3四半期だけでも世界的に210万台の生産量が減少しかねないというのが該当調査会社の分析だ。
韓国内の完成車メーカーも同様に打撃が大きい。17日、韓国自動車産業協会(KAMA)によると、今年7~9月の国産完成車業界の自動車生産台数は76万1975台にとどまったことが確認された。これは2008年の金融危機後、最も少ない生産量で、コロナ19と生産量が減少した昨年同期より21%ほど減少した数値だ。
半導体需要が急増した主なビックテック企業も、半導体の独自設計に乗り出している。グーグルの場合、スマートフォン向けアプリケーションプロセッサーの「テンソル(Tensor)」を公開している。アップルも同様にM1Xを開発し、ノートパソコンに自主的に搭載している。
業界関係者らは、グローバル企業の半導体内製化が、韓国内ファウンドリ企業の立場で新たな好材料として作用すると見ている。
韓国半導体産業協会のアン·ギヒョン専務は、「該当するビックテック企業の場合、半導体製造施設(Fab)を直接運営するのは難しい。設計後、ファウンドリ企業に生産を委託しなければならない。ファウンドリ業界の立場で肯定的な要素だ」と指摘した。実際にオムディアによると、今年837億ドル(約9兆5506億円)水準のファウンドリ売上が2027年には1300億ドル(約14兆8356億円)を超えると見込まれている。
TSMCを対象に、技術追撃を宣言したサムスン電子など、韓国内企業の立場からも、新たな客を増やすチャンスとなりうる。アン専務は「今後、半導体の独自開発と内製化に乗り出す企業が多いものと期待される。韓国のファウンドリ企業も限定されているだけに、潜在的な顧客企業を確保する可能性が高い」と述べた。実際、サムスン電子はグーグルが独自開発したテンソルの生産に続き、テスラが開発したHW4.0の生産にも入る予定だ。
ただ、完成車企業の半導体の独自開発が、韓国内ファウンドリ市場に影響を及ぼす可能性は限られている。車両向け半導体生産の場合、技術要求水準が高くはないが、使用条件などがかなり厳しいだけに、産業用半導体製造に比べて「コストパフォーマンス」が低いからだ。実際、車両向け半導体は、日本のルネサスやオランダのNXPなどの少数の企業でのみ、専門的に生産している。
半導体業界の関係者は「現時点でファウンドリ企業が車両向け半導体を生産するのは効率が落ちる可能性がある。このため、サムスン電子などが車両向け半導体市場に乗り出せば、車両向け半導体専門メーカーの買収合併を通じて進出する可能性が高い」と説明した。
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