世界を揺るがしている車両向け半導体の調達難に対する備えとして、韓国内半導体メーカーを育成し、供給網管理システムを高度化するなど、根本的なサプライチェーンの再編が必要だという分析が持ち上がっている。韓国メディアskyedailyが報じた。
韓国自動車研究院は18日、「トヨタの事例にみる未来半導体供給難への対応方向」に関する産業動向報告書を発表した。
報告書によると、世界自動車業界は需要予測の失敗、マイクロコントロールユニット(MCU)不足などで、今年上半期に1次車両向け半導体の調達難に陥ったが、すぐに回復した。しかし今年の夏、新型コロナウイルス感染症(コロナ19)の再拡散で東南アジア地域の半導体生産に支障を来たし、最近2次不足の事態に陥った。
実際、半導体後工程が集中したマレーシアは、今年6月の全国封鎖令以後、工場のシャットダウンを繰り返している。
マレーシアは、全世界の半導体パッケージングテスト工程の13%を占めている主要生産拠点だ。インフィニオン、STマイクロ、インテル、NXP、TI、オンセミなどグローバル半導体メーカー50社余りの現地工場がある。マレーシアの各工場が一斉にシャットダウンし、世界の半導体生産に支障をきたす形となった。
ベトナム·タイでも半導体生産工場のシャットダウンでグローバル供給網が麻痺した。
特に、車両向け半導体は、少量生産や信頼性検証の困難などで、供給柔軟性の足りない製品といわれている。生産拠点が密集している東南アジアの生産支障により、グローバル完成車業界は大きな打撃を受けることになった。
今回の東南アジア発半導体の供給不足で、先月、米国市場では昨年同月比24%減の100万台の販売に留まった。これはこの10年間で最も低い数値だ。また中国は90万台程度の生産支障が予想される。
このように2次半導体の調達難が迫ると、世界の完成車業界は1次不足当時、リスク管理や代替品生産プロセスなどでかえって増産に成功したトヨタの対応に注目した。
トヨタは内部で数年間、危機対応システムと部品供給網を改善してきた。外部的には政府支援を基盤に、日本ルネサス、台湾TSMCなど主要半導体メーカーとの協力体系を強化した。
また代替品に対する評価システムを高度化し、迅速な代替品生産プロセスを構築した。その結果、新規製品の検証に長い時間がかかる自動車部品の供給に柔軟性を確保した。
トヨタはこのようなシステムと供給網の再編を通じ、1次車両向け半導体の需給難の影響にも関わらず、今年上半期は約500万台を販売し、グローバル上位5社の完成車メーカーのうち、昨年同期比最高の伸び率を記録した。
しかしトヨタも2次となる車両向け半導体の品薄事態は避けられなかったと報告書は伝えた。
半導体の調達難が長期化するにつれ、これまで備蓄していた在庫が底をつき、東南アジアに集中している自動車部品産業構造で供給に差し支えが生じたためだ。これを受け、トヨタは先月の月生産量の40%である40万台を減産せざるを得なかった。
報告書は、今回の調達難をきっかけに、韓国内自動車産業も同様に、車両向け半導体メーカーを育成し、下位部品情報管理や迅速な代替品評価ができるよう、システムを高度化しなければならないとアドバイスした。
さらに、国や地域、企業間戦略を全て考慮した部品供給網も構築すべきだと付け加えた。
報告書は「供給危機の際、優先的に協力が可能な車両向け半導体企業を育成し、その企業と直接的な協力を可能にしなければならない」とし「危機対応を優先順位とし、地政学的要素を反映した供給網再編も必要だ」と強調した。
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