米国政府が、半導体の情報提供の期限としている11月8日を約2週間後に控え、サムスン電子やSKハイニックスなどのグローバル半導体製造社企業を露骨に圧迫している。
米政府が資料提供に協力しない場合は強制的手段に出ることを再び強調し、米国側の要求には応じるが、顧客企業関連の重要資料は除外する方向で決めていた韓国側の交渉戦略が通用するか不透明になった。サムスン電子のファウンドリ(半導体委託生産)競合社であるインテルが、大規模な投資支援を要求するなど米国政府と協力関係を強化している中で、米国内の競合社への機密情報の流出を懸念する韓国の製造社の苦悩が一段と大きくなっている模様だ。韓国ファイナンシャルニュースが報じた。
■米商務部「半導体情報公開」圧迫
24日、関連業界によると、米国商務部は最近、対外行事での公開発言や外信のインタビューなどを通じて、半導体製造社から内部情報を提供してもらい、半導体供給網の透明性を高めるという従来の方針を再確認した。先月24日、ホワイトハウスと商務部は、主要半導体製造社に対し、主要顧客3社と各顧客の注文量、主力製品の在庫、増設計画など重要営業機密が含まれたアンケート資料の提供を要求した。
外信は米国商務部の報道官の言葉を引用し、SKハイニックス、インテル、ゼネラルモーターズ(GM)、インフィニオンなどが近々半導体の関連情報を公開する計画だと報じた。
商務部報道官は「彼らの努力に感謝するとともに、他の企業も加わることを勧める」と述べた。さらに「(情報提供は)自発的なものだが、この情報は供給網の透明性に対する懸念を解消するのに重要だ」とし、「強制措置を行うかどうかは(資料提供に)加わる企業の数と情報の質によって変わってくる」と強調した。GMは「期間内に資料を提供する」と明かしたが、インテルとインフィニオンは回答を拒否した。
SKハイニックスの関係者は、このような米国政府の発言に対し「確認できていない」と述べた。
米国商務部のジーナ・レモンド長官も20日(現地時間)に行われたミルケン・グローバルカンファレンスで、半導体製造社の情報提供を通じて供給網の透明性を高めれば、今後6~12カ月以内に半導体のボトルネックが大きく改善されると強調した。
■期限まで企業間の熾烈な神経戦
このように米国政府が企業から敏感な半導体の内部情報を必ず提供させるという意思を示したことで、韓国側の対応も複雑になっている。サムスン電子とSKハイニックスは、韓国政府との疎通を強化し、契約上の秘密維持条項や国内法に抵触するかなどを踏まえて資料提供に応じるかどうかを検討している。
韓国の製造社にとっては、半導体関連の重要資料の提供は絶対に譲れない事案だ。企業の極秘資料が外部に流れれば、顧客企業との価格交渉などにおいて不利になるうえ、法的な紛争になる可能性もある。また、ファウンドリ事業の投資を強化し、米国政府との協力関係を固めているインテルなど米国内の企業に情報が流出する可能性も排除できない。インテルは、サムスン電子やTSMCなどの海外企業は補助金支給対象から除外したまま、下院に係留中の520億ドル(約61兆ウォン、約5兆9151億円)規模の半導体生産促進法(CHIPS)の可決を要求し、全方位ロビーを繰り広げている。
米国政府が冷戦時代の軍需法である「国防生産法」まで念頭に置いて半導体製造社を圧迫するのは、米国主導でグローバル半導体供給網を再編したいという思惑があるためだ。そのため米国側との交渉は容易ではないとの見方が出ている。韓国企業は期限直前まで台湾のTSMCなど他の製造社の対応を見て資料提供範囲を決めると見られる。TSMCは顧客企業関連の重要情報を提供するのは難しいという立場だ。
半導体業界関係者は「営業機密の提供は企業だけでなく、市場全体が揺れる揮発性の高い事案」とし、「期限ぎりぎりまで半導体製造社間の神経戦が熾烈になるだろう」と述べた。
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