グローバルメモリ半導体の「価格下落」見通しが強まる中、韓国半導体業界の危機感が広がっている。来年第1四半期まで価格下落による市場の不確実性はさらに拡大するものと見られるというのが業界の分析だ。国内外の主要半導体企業も技術投資などを通じた対応に乗り出した。こうした対応にはメモリ半導体市場の厳しい寒さはそれほど長くないだろうという計算があるという分析だ。韓国ブリッジ経済が報じた。
24日、業界によると、今回の第4四半期にもDRAMなどグローバルメモリー半導体価格の下落が続くものとみられる。
市場調査会社のトレンドフォースによると、DRAMの今年第4四半期の平均取引価格は、第3四半期比3%から最大8%まで下落する見通しだ。来年の場合、供給と需要増加率の逆転が本格化し、DRAM価格が今年対比最大20%まで下落する可能性があるという見通しも出ている。トレンドフォースは、来年のグローバルDRAM供給増加率を需要増加率より2%ポイントほど高い約18%と見ている。
来年のメモリ半導体の需要減少は、在庫増加のほかにモバイル市場での需要減少なども主要原因に挙げられる。全体グローバルDRAM需要の約30~40%がモバイル生産に使われているためだ。現在、システム半導体の確保難が悪化し、主要スマートフォンメーカーのモバイル生産に支障が生じていることから、スマートフォンに使用されるDRAMとNAND型フラッシュの需要も減少している。アップルも同様に、従来のiPhone13の生産台数を、最近1000万台近く減らした。
特にDRAMに続き、比較的需要が堅調だったNAND型フラッシュの価格も下がるだろうという見通しまで出ている。トレンドフォースは、NAND型フラッシュも同様に第4四半期は最大5%下落する可能性があると見込んでいる。
メモリ半導体の割合が大きい国内企業の打撃を懸念する声もあがっている。業界によると、年以下基準のサムスン電子の事業売上でメモリ半導体が占める割合は約76%だ。特に、ファウンドリ(半導体委託生産)分野で比重を増やしてきたサムスン電子とは違い、SKハイニックスの場合、全体の売上でメモリ半導体の売上が占める割合は95%にも達している。国内メモリ半導体業界の場合、今年第4四半期と来年第1四半期の業績に影響を与えかねないという観測だ。
ただ、業界ではメモリ半導体の市場不透明性が長期化することはないという見方も少なくない。新韓金融投資のチェ·ドヨン研究員は「メモリ需給などの問題で11月まで不確実性がピークに達するが、全体の業況は来年第2四半期から反発するだろう」と指摘した。今年8月に「メモリ半導体危機論」を持ち出したモルガンスタンレーも、グローバルメモリ半導体価格が来年第2四半期から段階的に再び反発するとみている。
国内外の主要メモリ半導体企業も、業界の酷寒期以降に備えた大規模な投資に乗り出している。
世界3位のメモリ半導体生産企業である米マイクロンは20日(現地時間)、10年間に1500億ドル(約17兆円)を投じ、メモリ半導体の製造と研究開発(R&D)に乗り出すと明らかにした。
後発走者の追撃に備え、韓国企業も技術投資で首位維持に乗り出している。SKハイニックスは20日、DRAMの中で最高仕様の「HBM3」を開発し、次世代メモリー半導体市場の先取りに乗り出した。当該DRAMはクラウドサービス基盤のデータセンターと、人工知能、スーパーコンピューターなど4次産業基盤産業に最適化された半導体である。サムスン電子もSKハイニックスと同様、人工知能や5Gなど、次世代産業を狙ったメモリ半導体製造に取り掛かっている。サムスン電子は今月12日、EUV(極紫外線)工程を適用した14ナノ半導体DRAMの生産に入ると発表している。
業界関係者は「今年末の韓国業界に与える影響は確かにあるだろうが、来年からサーバー市場を中心に需要が増えるとみられる。市場の不確実性がそれほど長くないという観測を受け、主要企業が投資や研究開発に拍車をかけている」と明らかにした。
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