超微細半導体をめぐる米国と中国の覇権戦争が深刻化し、その飛び火が韓国企業に飛び火しかねないという懸念が続いている。学界では、米国が重要視する超微細半導体は米国や韓国で製造し、残りの製品は中国などで生産する「ツートラック戦略」で対応できるとの分析が出ている。韓国メディア「newstomato」が報じた。
25日、半導体業界によると、米中半導体対立が長期化し、中国にも半導体工場を置くSKハイニックスとサムスン電子が危機に直面する可能性があるという主張が一部から続いている。現在SKハイニックスは、中国江蘇省無錫でDRAMメモリ半導体を生産しており、サムスン電子は西安でNAND型フラッシュメモリ半導体を作っている。
特にSKハイニックスに対する懸念がさらに大きい状況だが、システム半導体(非メモリ)工程と同じくDRAM工程にも極紫外線(EUV)露光装置を導入しているからだ。極紫外線(EUV)露光装備は半導体超微細工程の核心で、オランダ企業ASMLが生産を独占している。米国政府は同盟のオランダ政府に圧力をかけ、ASMLが中国に極紫外線装備を輸出できないよう防いでいる。
こうした一部の懸念ある見通しとは異なり、専門家らはサムスン電子とSKハイニックスが「ツートラック戦略」を活用し、現在の状況に対応できると指摘している。産業研究院のキム·ヤンペン研究委員は「米国と中国の対立でサムスン電子とSKハイニックスが影響を受けるしかないのは事実」としながらも「米国が力を入れている10ナノ以下の超微細半導体は韓国など米国と手を組んだ国で生産し、その他の半導体は中国で生産する方式で危機から脱することができる」と説明した。米国が半導体分野で中国と刃を研いでいるが、半導体の中でも未来産業と直結する超微細半導体に集中している点を利用できるという意味だ。
実際に最近公開された内容を見ると、米商務省は「取引制限企業リスト」に載っていた中国企業のファーウェイと中芯國際(SMIC)にそれぞれ113件、188件の輸出ライセンスを発給した。ファーウェイは中国最大の通信装備メーカーであり、SMICも中国最大の半導体委託生産メーカーで、輸出規模は韓国ウォンで約121兆250億ウォン(約11兆7831億円)に達するという。しかし、重要なことは輸出規模より輸出品目だ。ロイターなど外信によると、許可された品目のうち大部分が超微細半導体などと関係が少ない、敏感でない品目だった。ファーウェイに承認された113個のライセンスの中には80個が、SMICの場合は188個の中で121個が敏感でない品目だったという。半導体業界関係者は「米国半導体企業の中にも中国企業と取引する企業があり、いくら半導体戦争をするとしても中国との取引を完全に断つことはできない」とし「超微細半導体でなければサムスンとSKが中国に工場を建てるとしても、米国で制裁を加えることはない」と分析した。
SKハイニックスも「ツートラック戦略」で事業規模を拡大するものと見られる。SKハイニックスはすでに今年2月、総額4兆7500億ウォンを投資し、今後5年間にわたって約20台の極紫外線露光装備を購入するという契約をASMLと結んでいたが、現在は京畿道利川市(キョンギド·イチョンシ)の工場だけで3台の装備を投入している。龍仁(ヨンイン)半導体クラスターを造成するのも米中半導体葛藤の長期化を意識した決定という分析もある。龍仁(ヨンイン)半導体クラスターは2024年の稼動を目標としており、生産予定品目は次世代半導体とDRAMだ。今は中国無錫工場でSKハイニックスDRAM生産の30%以上を担当しているが、SKハイニックスが龍仁(ヨンイン)クラスターに極紫外線露光装備を設置する予定という点を考慮すれば、今後先端DRAMの生産は龍仁(ヨンイン)クラスターで引き受けるものと予想される。中国工場に装備を導入できず、生産能力が低下したり、投資金を回収できない事態が起こる可能性は低いという。
米中半導体対立の影響より業界と学界が神経を尖らせている分野は別にある。キム·ヤンパン研究委員は「超微細半導体商用化を誰が先に実現するかがカギ」とし「インテルが2024年に2ナノ半導体開発を叫んではいるが、当面の3ナノ競争ではサムスン電子が来年上半期発売を宣言し、下半期発売を明らかにしたTSMCをリードしている状況」と説明した。半導体委託産業は業界の特性上、まず量産に成功した企業が市場シェアの拡大と新規顧客確保の機会を独占することができ、量産時期が極めて重要である。半導体業界関係者は「サムスンが3ナノ半導体を先に始めるだけに、2ナノ半導体の開発と量産でも優位を確保できると見ている」とし「来年上半期は半導体業界の版が変わる時点になる可能性がある」と見通した。
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