LGディスプレイが第3四半期の市場見通しを下回る業績を記録した。液晶表示装置(LCD)パネル価格の下落や部品需給難による材料費の上昇などが影響したものと見られる。LGディスプレイはLCD構造革新を通じ、収益性強化に乗り出す計画だという。韓国メディア「時事ジャーナルe」が報じた。
LGディスプレイは第3四半期の売上が7兆2232億ウォン(約7006億円)、営業利益が5289億ウォン(約513億円)を記録したと、27日発表した。売上は前年同期(6兆7376億ウォン、約6534億円)より7%、営業利益(1644億ウォン、約160億円)は22%伸びた。ただ、売上は前期(6兆9656億ウォン、約6756億円)対比4%成長にとどまり、営業利益(7011億ウォン、約680億円)は25%減少した。当初証券業界は、LGディスプレイは第3四半期の売上は7兆6555億ウォン(約7423億円)、営業利益は6686億ウォン(約648億円)のレベルを記録するだろうと見込んだ。
OLED部門は好調を続けた。今年の目標だった800万枚の販売を達成し、年間黒字への転換が可能になる見通しだ。来年の大型OLED出荷量の目標は1000万枚だ。
営業利益が前期より減少したのは、LCDテレビパネルの価格下落が収益性の悪化につながったためだ。新型コロナウイルス感染症(コロナ19)事態で急増した非対面需要がワクチン接種拡大とウィズコロナ転換などで減少し、LCDテレビパネル価格は下半期に急落した。キウム証券によると、9月の1ヵ月間、55インチLCDテレビパネルの価格は約12%下落した。
部品の確保難で材料費が上昇し、第3四半期のディスプレイ出荷面積(840万平方メートル)も前四半期(890万平方メートル)より5.6%程度下落したのも悪材料だった。新規設備稼動に伴う費用増加も影響を及ぼしている。LGディスプレイは今年8月、中小型OLED施設投資のため、3兆3000億ウォン(約3200億円)を投資すると公示していた。
ただ、LGディスプレイは、IT向けパネル出荷量が拡大し、売上は前期より上昇したと説明した。IT向けパネルの第3四半期の売上比重は45%で、前期(39%)より6%ポイント上昇した。第3四半期の売上の割合は、IT向けパネルに続き、テレビ向けパネル(32%)、モバイル向けパネル(23%)の順だった。
OLEDパネルは成長を続け、年間黒字転換が可能だと予想した。LGディスプレイのソ·ドンヒ最高財務責任者(CFO)専務はこの日のカンファレンスコールで「大型OLED事業はプレミアムテレビを中心に成長し、第3四半期累積基準で前年比90%成長した」とし「中国広州工場の3万枚キャパ(CAPA・生産力)が加わって年間大型OLED1000万台を販売するための生産インフラを構築した」と評価した。
ソ専務は「来年にOLED部門がうまくいけば一桁半ば水準の収益性達成は十分に可能だ」とし「収益性改善の理由として歩留まり向上、コスト削減、販売量増加などが複合的に作用した」と説明した。
LGディスプレイは、第4四半期の出荷面積が、第3四半期より10%半ばレベルに増加するだろうと見込んだ。部品難で遅れていた出荷量が第4四半期には回復するものとみられる。
ソ専務は「LCD市場の悪化と部品確保問題、中国電力難などによる不確実性は持続する可能性がある」とし、「市場モニタリングの強化などでリスクを最小限に抑える」と強調した。
今後の事業戦略については、OLEDの強化と共にLCD市場の再編を図り、安全性を強化すると明らかにした。変動性の大きいLCDテレビの生産力量をハイエンド基盤のITに転換し、収益構造を改善するということだ。また、2018年末と比べ、LCDキャパはすでに25%ほど減少したと付け加えた。
ソ専務は「25%削減された生産力量内で製品別に見ると、テレビは2018年末比40%減少したが、ITは30%程度増加した。ITは高解像度、ハイエンドに対する生産力量を集中的に増やした、その中でもテレビをさらに柔軟に対応していくと説明した。
また、OLEDパネルと関連し、新規顧客企業の追加も示唆した。ソ専務は「これまでは伝統的なテレビセットメーカーが顧客だったが、今は今後市場を細分化して覗いている状況」とし「テレビセット顧客以外に大型OLEDをアピールできる十分な力量がある分野で新しい顧客が追加される確率がかなり高い」と明らかにした。
また、収益改善に伴い、株主に配当を実施する可能性にも触れた。ソ専務は「今年は過去3年間の赤字から脱却し、年間黒字を記録する意味のある年」とし「株主への還元の側面から今年の配当を前向きに検討している。具体的な内容が決まり次第、市場とコミュニケーションを図っていく」と述べた。
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