韓国内バッテリー業界が素材の内製化でサプライチェーンを強化している。メーカーが直接素材会社に持分を投資したり、専門系列会社を育成したりするなど、今後急増する電気車バッテリー素材の需要に対応している。韓国メディア「エナジー経済」が報じた。
31日に業界によると、LGエナジーソリューション、サムスンSDI、SKイノベーションの韓国内バッテリー3社は、正·負極材と分離膜などバッテリーに入る核心素材を内製化する動きを見せている。
電気自動車のバッテリー4大核心素材は正極材、負極材、分離膜(セパレータ)、電解液などが挙げられる。原価比重基準で正極材52%、負極材14%、分離膜16%、電解液8%の順で重要度が高い。業界によると、4大素材市場の規模は今年の282億ドル(約33兆ウォン、約3兆2049億円)から2030年には1232億ドル(約144兆ウォン、約14兆円 )と10年間6倍に成長すると予想されている。
特に、核心素材は技術的限界を克服する必須条件だ。完成車メーカー各社はバッテリー会社に対し、走行距離は長いが、充電時間は短く安定的な製品を要求するが、そのためにはバッテリー特性を高められる素材革新が伴わなければならないからだ。さらに今後、電気自動車市場の拡大を受け、電気自動車のバッテリーのみならず、素材需要も急増するものと見られ、安定的な確保に向け、内製化に力を入れている。
LG化学は、バッテリーセルの子会社であるLGエナジーソリューションを分社した後、素材事業の育成に向け、いち早く動いている。特に国内外の投資を通じてバッテリー素材部門のポートフォリオを強化し、事業力量の強化に努めている。2025年までに6兆ウォン(約5827億円)を投資し、バッテリー素材を集中的に育成する計画だ。
LG化学は正極材の生産能力を現在の4万トンから2026年までに26万トンに拡大する。昨年末に清州(チョンジュ)工場への3万トン規模の正極材の新規増設を皮切りに、韓国で8万トン、中国でファユコバルトなどとの合弁生産法人を通じ約14万トン、米国で4万トンなど、生産規模を確保する方針だ
このため、今年初めにはバッテリー素材関連事業を「先端素材部門」に統合し、LG電子から分離膜事業、生産設備や人力などを買収するなど、電気自動車バッテリー素材会社に衣替えする格好だ。
サムスンSDIは、正極材専門企業のエコプロビーエムと合弁会社「エコプロイーエム」を設立し、21日から正極材生産工場「CAM6」の試稼働に入った。来年上半期の量産を皮切りに年間正極材3万6000トンを生産することになる。生産された正極材の全量は、サムスンSDIに供給される。
独自の生産力も強化する傾向を見せている。正極材製造子会社の「STM」を通じ、内製化率を従来の20%から2023年には50%以上に高める計画だ。現在、グローバル正極材市場でサムスンSDIはシェア3.4%で12位圏を記録した。
SKはグループレベルで、電気自動車向けバッテリー素材の確保に力を入れている。素材事業子会社のSKアイイーテクノロジー(SKIET)分離膜生産能力を2024年までに2倍水準の27億3000平方メートルにまで拡大する。特に、SKIETはグローバル分離膜市場で少数だけが進入した「ティア1(Tier1)」に当たるメーカーで、先頭圏のバッテリーおよび自動車会社に製品を供給する。SKIETは「ティア1」分離膜市場でもシェア基準で日本のメーカーを抜いて1位を走っている。
また業界によると、SKイノは中国EVEエナジー、負極材会社BTRと計3500億ウォン(約340億円)を合弁投資して、正極材生産合弁法人を設立する予定だ。合弁会社は年産5万トン規模の工場を構築する計画だ。
業界関係者は「系列会社を通じた垂直系列化および内製化は供給面で原価競争力を高めると同時に、専属市場保有という強みを土台に素材競争力も確保できる」とし「バッテリー生産能力競争が活発になればなるほど、素材確保競争も同時に激しくなるだろう」と述べた。
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