SKハイニックスがイメージセンサー事業に力を注いでいる。それに合わせてSKシルトロンが非メモリー半導体用ウェハーの生産量拡大の動きを本格化していると、韓国メディア「BUSINESS POST」が報じた。
SKハイニックスは、非メモリー半導体分野でファウンドリ(半導体委託生産)事業とともに、イメージセンサー事業を未来の成長エンジンに準備してきた。
3日、SKシルトロンによると、ウェハーの生産能力を月2万~3万枚増やすための投資をSKハイニックスファウンドリの子会社であるSKハイニックスシステムICの清州(チョンジュ)工場を活用する方式で最近確定したという。
SKハイニックスシステムICは、中国ファブレス(半導体設計専門会社)顧客企業の需要に対応するため、2022年上半期までに工場を中国無錫に移す作業を進めている。
この作業とあいまって、SKシルトロンがウェハーの生産設備をSKハイニックスシステムIC清州(チョンジュ)工場に導入している。
SKシルトロンが生産量を増やすウェハーは、12インチサイズのエピタキシャルウェハーだ。エピタキシャルウェハーは多結晶シリコンで作ったメモリー半導体用ウェハー(ポリシードウェハー)の上に単結晶シリコン層をかぶせたウェハーで、非メモリー半導体の生産に使われる。
半導体業界では、SKシルトロンの投資で、SKハイニックスが長期的にはイメージセンサー事業の安定性向上を期待できるという見方が出ている。
今後、SKハイニックスの12インチエピタキシャルウェハーの需要が増える可能性が高いが、SKシルトロンを通じてこれを適期に確保するのが容易になるからだ。
SKハイニックスはDRAMとNAND型フラッシュなどメモリー半導体依存度の高い事業構造を多角化するため、ファウンドリ事業とイメージセンサー事業など非メモリー半導体事業を育成している。
SKハイニックスはファウンドリ事業と関連し、微細工程を活用してロジック(論理)半導体を小品種大量生産するのに適した12インチウェハーではなく、成熟(レガシー)工程を活用してアナログ半導体を多品種少量生産するのに適した8インチウェハーを活用する方式だけで進めている。
イメージセンサー事業もアナログ半導体であるだけに、8インチウェハー基盤のファウンドリを通じて進めてきた。ところが、最近は12インチウェハー基盤の工程を通じてもイメージセンサーを生産している。
SKハイニックスの関係者は「京畿道利川(キョンギド・イチョン)のDRAM生産ラインの一部を転換し、12インチウェハーでイメージセンサーの需要に一定部分対応している」とし「12インチウェハーを活用する工程を通じてイメージセンサーを生産すれば、8インチウェハーを活用する工程より画素の高いイメージセンサーを作ることができる」と述べた。
12インチウェハーを活用した半導体生産は、単一製品の大量生産が前提条件だ。SKハイニックスのイメージセンサー事業が成長軌道に乗り始めたことが分かる。
市場調査機関のTSRによると、2020年末基準のグローバルイメージセンサー市場でSKハイニックスのシェアは3.2%に過ぎなかった。市場シェア1位は45%のソニー、2位は19.3%のサムスン電子で、SKハイニックスは首位との格差が大きい。
しかし、SKハイニックスは長期的には高画素製品を中心にイメージセンサー事業を育成するという意志を見せている。自社ブランド「ブラックパール」を打ち出したマーケティングにも力を入れている。
サムモバイルなど、海外ITメディアによると、SKハイニックスのイメージセンサーは、サムスン電子のフォルダブルスマートフォン新製品「Galaxy Z Fold3」に採用されるなど、技術的に認められ始めている。
SKハイニックスCISビジネス(イメージセンサー事業)担当のソン·チャンロク副社長が10月にSKハイニックスニュースルームと行ったインタビューで、「イメージセンサーは今後、DRAM、NAND型フラッシュとともにSKハイニックスの成長の一軸になると確信している」とし「イメージセンサー市場の先頭グループに仲間入りするのが目標」と述べた。
SKハイニックスがイメージセンサー市場で先頭グループに入るためには、それなりの生産能力が求められる。これは12インチエピタキシャルウェハーがこれからもっと多く必要になるかも知れないという意味でもある。
グローバル半導体市場で12インチエピタキシャルウェハーはますます貴重となると思われる。
国際半導体装備材料協会(SEMI)は、「電力および化合物半導体報告書(Power & Compound Fab Report)」を通じて、グローバル半導体生産量がウェハー面積基準で昨年122億9000万平方インチから2024年160億3700万平方インチまで増えるものと予想した。
生産量の増加分が大部分12インチエピタキシャルウェハー基盤の非メモリー半導体に集中されるとも見通した。
デジタイムズなど海外半導体専門媒体によると、グローバル1位と2位のウェハー製造会社である日本信越ケミカルとサムコ(SUMCO)、3位の生産会社である台湾グローバルウェハースは、いずれもウェハー生産設備の増設を検討している。
この中でサムコ(SUMCO)はこれに先立ち、10月に、2287億円(約2兆4千億ウォン)を投資し、12インチウェハー生産工場の増設計画を確定し、発表した。
しかし、これら上位メーカーがウェハー生産設備を増設しても、実際の量産稼働までには2~3年かかる。半導体業界ではこれを考慮し、ウェハーの品薄現象が当分解消されない可能性が高いという見方が多い。
SKシルトロンは、国内唯一のウェハー生産会社だ。SKハイニックスとしては、SKシルトロンの生産量拡大の動きを歓迎せざるを得ない。
もちろん、SKシルトロンにとってSKハイニックスはいくつかの主要顧客会社の一つに過ぎない。
SKシルトロンは世界5位のウェハー生産会社でもある。昨年、SKシルトロンの売上の中で、SKハイニックスとの取引で発生した売上は3861億ウォンで全体の23%を占めた。
SKシルトロンは、SKハイニックスとの利害関係を考慮しなくても、世界的なウェハー不足に対応しなければならない状況に置かれているわけだ。
SKハイニックスの関係者は「今回投資を決定した月2万~3万枚の増設投資は世界的な業況を考慮すれば大きな規模とは言えない」とし「市場の現況を注視しながらSKハイニックスシステムICの工場を活用する投資と別途に大規模な工場新設投資を内部で検討している」と述べた。
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