韓国のパンテックが、KDDIグループのUQコミュニケーションズを相手に、日本の裁判所に対して通信技術の特許侵害による損害賠償請求訴訟を提起した。韓国企業が、海外企業に排他的と知られている日本の裁判所で日本企業を対象に特許訴訟を起こしたのは異例と言える。韓国メディア「電子新聞」が報じた。
パンテックは、UQコミュニケーションズが「直交周波数分割多重方式(OFDM)無線接続システムにおけるデータバースト割当方法及び自動再送要求(HARQ)支援方法(JP 5055132号)」を含む、日本の4件の特許を無断に侵害したと主張し、損害賠償請求書を日本の東京地方裁判所に提出した。
パンテックは、UQコミュニケーションズが提供しているWiMAXサービスの基地局装備や、携帯電話30種類がパンテックの通信標準特許を侵害していると主張している。UQコミュニケーションズは日本2位通信会社のKDDIグループの系列会社で、MVNOやWiMAXなどのサービスを提供している。
WiMAXは無線通信の規格のひとつであり、韓国では「WiBro」と呼ばれている。韓国では2018年にサービスが中断されたが、日本ではサービスが高度化し、高い利用率が維持されている。パンテックが侵害を主張している特許は、パンテックが過去にLGエレクトロニクスから買取したもので、WiMAX通信サービスの核心技術として評価されている。
パンテックはLTEやWiMAXなどに関わる特許を約1700件保有している。また、保有した特許を提供するライセンスプログラムを世界中の約80社を対象に実施している。2021年10月にはアメリカのスマートフォンメーカー、BLUと特許ライセンシング契約を締結し、ロイヤルティをもらっている。一方で、中国のクールパッドや台湾のASUSを相手にアメリカで特許侵害訴訟を提起するなど、特許権を行使している。パンテックはこれからも保有している特許の価値を認めてもらうために、特許侵害訴訟を積極的に活用する方針だ。
パンテックは知的財産収益化専門企業のIDEAHUBが設立した子会社である。昨年度に旧パンテック(携帯電話メーカー)が保有する特許約1400件やブランド使用権など、知的財産(IP)を買取し、グローバル収益化事業を行っている。IDEAHUBの関係者は、「パンテックの通信特許を含むモノのインターネット(IoT)、ストリーミングなど5つの分野でオープンライセンシングプラットフォームを運営している」と説明し、「国内外の特許権者が保有している知的財産を活用し、収益化サービスの領域を広めていく」と述べた。
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