韓国特許庁の2022年度予算案が12月3日、国会の本会議で議決された。予算の規模は2021年度より15.6%増加した7007億ウォン(約670億円)であった。韓国メディア「特許ニュース」が報じた。
来年度の予算規模は、歳入項目の特許、商標出願費用などの手数料や、公共資金管理基金預託金の現金回収額の増加によって増大した。知識財産創出・保護などの主要事業費は今年度より211億ウォン(約200億円)増加した3738億ウォン(約358億円)であった。
特許庁は、来年度の予算を活用し、高品質審査・審判サービス提供、輸出企業の海外知識財産権紛争への対応強化及び国内知識財産権の保護拡大、技術自立のための特許基盤R&D支援、標準特許創出支援に対する投資を強化する予定だ。具体的な予算編成は下記の通りである。
特許・論文など、技術文献が急増し、オンラインストアを中心に商標出願が増加したことで、高品質審査・審判サービスの支援に今年度より111億ウォン(約11億円)増加した975億ウォン(約93億円)の予算を編成した。
また、世界各国での保護貿易主義の拡散によって、国際知識財産権の紛争危険が増加したことで、韓国の輸出企業の海外特許紛争に対する警告状対応など、国際知識財産権紛争への対応を強化する。知識財産権紛争対応戦略支援の予算は今年度より40億ウォン(約3億8千万円)増加した149億ウォン(約14億円)であった。また、国家核心技術が事前承認なしで海外に無断流出されることを防ぐための特許管理支援プログラムも新設した。
最近、韓国で問題になった「ドップジュック事件」(第三者が商標を横取りした事件)のような、小商人の知識財産被害を防止するために、商標出願支援など、小商人の知識財産権利化事業を新設し、26億ウォン(約2億5千万円)の新規予算を編成した。知識財産に対する認識の向上のための教育・広報も実施する予定である。
特許庁は素材・部品・装備分野の技術自立のために、中小企業・中堅企業の特許基盤カスタマイズ特許戦略(IP-R&D)の支援を続け、炭素排出低減技術、ワクチン開発など、未来核心新産業分野に対するR&D課題の支援も拡大する計画だ。そのため、知識財産権連携研究開発戦略(IP-R&D)予算は今年度より16億ウォン(約1億5千万円)増額された400億ウォン(約38億円)であった。支援項目は今年度より22項目増加した548項目であった。
地域産業に特化した知識財産専門人材の養成のために、圏域別知識財産重点大学も拡大した。社会的弱者保護のための無料産業財産権相談サービスを提供する、「共益弁理士特許相談センター」の弁理サービスを強化するために、今年度より3億ウォン(約2800万円)増加した19億ウォン(約1億8千万円)の予算を編成した。
特許庁は、来年度の予算が大幅増額された分、迅速な予算執行のための事業計画樹立など、予算執行準備を徹底する方針だ。
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