サムスン電子、スマートフォン出荷量トップを守る秘訣は20年間築いてきた「SCMノウハウ」
サムスン電子は、高度化した供給網管理(SCM)能力で、世界スマートフォン市場出荷量1位を守っている。第3四半期の部品難を克服し、出荷量を前年同期比20%も増やしたのだ。昨年、新型コロナウイルス感染症(コロナ19)の影響でスマートフォン市場が萎縮した基底効果を勘案しても増加幅が大きかったという。韓国メディア「アジアトゥデイ」が報じた。
5日、市場調査会社のカウンターポイントリサーチによると、サムスン電子の第3四半期のスマートフォン出荷台数は計6930万台と、前年同期比20%伸びた。スマートフォン市場全体の第3四半期の出荷量は3億4200万台と、前年同期比6%減少したものの、サムスン電子はかえって出荷量を増やした。
2位アップル(4800万台)と3位シャオミ(4440万台)との格差が2000万台を上回る。アップルはiPhone13の発売効果で前年同期比15%も出荷量が増えたが、シャオミは部品不足の影響で出荷量が昨年より5%減った。
サムスン電子のスマートフォン出荷量のトップは、1日単位の生産計画が可能な極度に高度化したSCM体系のおかげだ。サムスン電子は需要、購買、生産、配送、財務、新製品開発計画を一つに統合し、すべてのプロセスが「一つの計画」に同意するようにした後、業務を推進するという。もう一つの事案が終われば、発見された問題点を補完する計画、実行、点検、作動過程も経る。経営陣が世界中での販売、生産現況をリアルタイムで把握し、データを基盤に判断するシステムも早くから構築した。
サムスン電子のSCMシステムは、2002~2004年に当時サムスン電子経営企画室のユン·ジュファ専務が主導して構築され、2005年以降にチェ·ジソン前副会長が無線事業部のSCM革新を推進して外部に知られた。サムスン電子は2000年代、北米テレビ市場で日本ソニーを破った時もSCMの底力だったと評価されたことがある。昨年までサムスン電子が製品を流通網まで伝える納期遵守率は100%に近いという。市場が希望する時に製品を供給するノウハウを20年近く築いてきたわけだ。
最近ではSCMのノウハウに人工知能(AI)、リアルタイムデータ処理能力をプラスした「N-ERP(全社資源管理)」システムを導入した。サムスン電子は今年4月、東·西南アジア、中国法人にN-ERPシステムを優先的に適用した。サムスン電子が今年、東南アジアやインド、中国のコロナ19の拡大に、早いテンポで対応できた背景と見られる。サムスン電子のムン·ソンウ経営革新センター長(専務)は「最新技術基盤のERPシステム構築はグローバル企業の中で先導的な事例」とし「N-ERPはサムスン電子のデジタル革新を支える最も重要なプラットフォームとしての役割を果たす」と述べた。
サムスン電子のSCM人材をLGから迎え入れたケースも出ている。LGエナジーソリューションは最近、サムスン電子出身のシン·ヨンイン常務をSCMセンター長として迎え入れた。シン常務は、サムスン電子ベトナム法人担当役員、無線グローバル運営チーム長を務めた人物だ。
協力会社との長い信頼も欠かせない。サムスン電子は同日、ベトナムに進出する協力会社に2200億ウォン(約210億円)台の無利子融資を行うと発表した。ベトナムはサムスン電子の最大スマートフォン生産基地が位置しており、韓国から一緒に移転した協力会社が120社余りに達する。すでに80社が申請し、このうち50社が1000億ウォン(約95億円)の支援を受けた。サムスン電子は、「ベトナムコロナ19」の拡大で経営上の困難が大きくなった協力会社に社員の宿舎、通勤バスなどを支援した。サムスン電子は「今後も協力会社の問題点を解消するため、協力会社が実質的に必要とする部分について支援を続けていく計画だ」と伝えた。
一方、サムスン電子は来年のスマートフォン生産計画を3億3000万台以上へと上方修正したという。今年(2億6700万台と予想)より25%ほど多い。スマートフォン部品供給難の解消が予想され、昨年と今年の萎縮していた需要が蘇るものと見ているためだ。フォルダブルスマートフォン「Galaxy Zシリーズ」の生産も今年の2倍程度増やすと業界は見ている。
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