韓国国内バッテリー3社が欧州に拠点を置き、市場攻略を本格化している。電気自動車(EV)産業において最も爆発的な成長を見せてくれる欧州地域を先取りし、シェア拡大を図るという戦略だ。韓国メディア「dailyimpact」が報じた。
国際エネルギー機関(IEA)が7日に発表したところによると、昨年、世界で新規電気車の登録台数は300万台で、前年に比べ41%増加した。このうち欧州が140万台を占め、次いで中国(120万台)と米国(29万5000台)がそれに続いた。
欧州は世界で最も強力なエコ政策を展開している地域だ。パリ気候協定後、世界各国が炭素中立(カーボンニュートラル)を目標に環境にやさしい政策を強化中だが、その中でもEUは先制的に対応している。電気自動車への税金優遇措置や購入補助金、二酸化炭素排出課徴金などを出した結果、内燃機関車から電気自動車への転換が早いテンポで進んでいる。そのため、欧州市場での存在感を固めることは、世界の電気車市場での影響力拡大の近道になりかねない。
バッテリー業界の関係者はデイリーインパクトに「電気自動車市場が大きく成長した所は中国、米国、欧州に絞られる」とし「欧州の場合、国家が環境にやさしい政策を強力に推進しており、市場が早いスピードで成長中」と説明した。
この関係者は続いて「米国も同じくバイデン大統領が当選した後、環境にやさしい政策を展開しているが、既存の内燃機関車が強かった所なので、まだ欧州市場を中心に投資拡大に乗り出している」と述べた。
これを受け、LGエナジーソリューションはポーランド、SKオンやサムスンSDIはハンガリーに定着した。これらバッテリー3社は、欧州地域の1カ所に重点的に生産基地を拡大し、市場での影響力を拡大する方針だ。
LGエナジーソリューションは2017年、ポーランドでヨーロッパ初の大規模リチウムイオンバッテリー工場を着工した。約1年間4000億ウォン(約385億円)を投資し、ここで生産されたバッテリーは現地市場に納品している。
今年もポーランド政府の支援を受け、生産能力(CAPA)を増やした。投資金額は31億ユーロ(約4兆ウォン、約3853億円)に達し、欧州投資銀行(EIB)から4億8000万ユーロ(約6400億ウォン、約617億円)の支援を受けた。
昨年基準で70GWhだったCAPAは、2023年までに100GWhに増える見通しだ。
SKオンは2018年から欧州市場への攻略を本格化した。初工場のため、計8402億ウォンを投資した。当時、SKオンは東欧の多数地域候補地を検討した結果、立地や経済性など事業性の優れたハンガリーのコマロームを決定した。
現在はハンガリー政府の支援を受けながら工場を増設し続けている。ハンガリー第2工場もコマロームに位置しており、ハンガリー政府から支援金9000万ユーロ(約1209億ウォン、約117億円)を受けた。現在運営中の第1工場CAPAは7.5GWh規模、来年から稼動する第2工場は10GWhに達する。
SKオンは、ハンガリーのアバンチャに第3工場への投資も急いでいる。年間CAPAは30GWh規模で、2兆6000億ウォン(約2505億円)が投資される。SKオンが欧州に建設した工場の中で最大の投資だ。欧州市場攻略の前進基地にするため、投資に拍車をかけているわけだ。第3工場投資のため、最近は上場前の投資金誘致作業に乗り出したりもした。
特に、欧州市場を念頭に置き、世界有数の完成車メーカーのフォードと合弁法人を設立する。候補地はハンガリー、ルーマニア、ポーランドなどが話し合われている。これに関し、フォードのハウタイタン最高経営責任者(COO)はJPモルガンのカンファレンスに出席し、SKイノベーションとの合弁バッテリー会社設立を肯定的に評価し、「(合弁関係は)確実に欧州にも拡大する」と言及した。
サムスンSDIは2017年、ハンガリーのゲッドに位置した系列会社のサムスンディスプレイ工場を電池工場に転換させ、欧州に進出した。最近は、CAPAの拡張のために1兆ウォン(約963億円)を投資し、ハンガリーの第2工場を建設するという。
サムスンSDI従属法人のハンガリー法人は、施設資金の調達を目的に4038億ウォン(約389億円)規模の株主配分有償増資と借入を決めた。これを通じて調達した資金でハンガリー工場の増設に投入する計画だ。
サムスンSDI関係者はデイリーインパクトに「ハンガリーを中心に欧州市場を攻略する計画」と明らかにした。
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