サムスン電子の量子ドット有機発光ダイオード(QD-OLED)テレビの新製品が来年初めに発売されると予想される中、サムスン電子がLGディスプレイの有機発光ダイオード(OLED)パネルの供給を受け、OLEDテレビの販売量を増やす見通しだ。韓国メディア「Chosun Biz」が報じた。
8日、電子業界によると、証券業界を中心にサムスン電子のテレビ事業を総括する映像ディスプレイ(VD)事業部が、来年上半期、LGディスプレイが作ったOLEDパネルの供給を受け、QD-OLEDとツートラックでOLEDテレビを生産できるという分析が出ている。
ハイ投資証券のチョン・ウォンソク研究員は最近の報告書で「サムスン電子のLGDパネル採用が確実視されている」とし「2022年からLGディスプレイが200万台のテレビ向けOLEDパネルをサムスン電子に納品すると見られる」と述べた。
サムスン電子は現在、販売しているテレビの99%を液晶表示装置(LCD)パネルで生産しているが、中国メーカーがLCD市場を掌握しているため、サムスン電子はテレビ戦略をめぐって頭を悩ませている。LCDの価格が最近下落し、収益性が改善しているが、中国メーカーがLCDの価格を引き上げ、物量を抑制する場合、生産に支障が生じかねない。
サムスン電子が来年初頭、QD-OLEDテレビの発売を準備するのも、このような悩みの延長線にある。ただ、サムスンディスプレイが来年に生産できるQD-OLEDパネル出荷量は最大100万台で、サムスン電子の年間テレビ出荷量の2%水準に過ぎない。サムスン電子はLGディスプレイが生産したOLEDの供給を受けることができるという主張が出ている理由だ。
サムスン電子はすでに、LCDパネルをLGディスプレイから供給を受けている。これを受け、サムスン電子がその気になれば、LGディスプレイのOLEDパネルの供給を受けることができるというのが、証券業界の評価だ。チョン研究員は「サムスン電子とLGディスプレイ間の協力関係構築は両社ともウィンウィン(win-win)戦略になり得る」とし「サムスン電子はOLEDテレビラインナップ拡大で収益性改善が期待できると同時に、LCDパネル価格を圧迫できる手段としても活用できる」と述べた。
サムスン電子は、サムスンディスプレイの「QD-OLED」とLGディスプレイの「OLED」製品を一つにまとめ、新しいテレビラインナップを披露する可能性もあるという見方も出ている。QD-OLEDは上位モデルで、LG-OLEDパネルは普及型製品として販売する方式だ。こうなった場合、主力モデルのネオQLEDのプレミアム戦略をそのまま維持したまま、OLEDテレビを販売できる。
サムスン電子はLGディスプレイのOLED供給説と関連し、事実無根だと主張した。LCD基盤のQLEDやマイクロLEDパネルを前面に出す従来の「ツートラックテレビ」戦略をそのまま維持するというのが、サムスン電子側の説明だ。業界関係者は「サムスン電子はLGディスプレイのLCDパネルを使用する際もこうした事実を公開しなかった」とし「OLEDパネルも似たような姿を見せる可能性がある」と述べた。
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