最近、サムスン電子のテレビにLGディスプレイの有機発光ダイオード(OLED)パネルが入るという見方が出て業界の関心が高まっている中、過去にサムスンとLGの製品開発「同盟」の事例に対する関心が高まっている。一部では、サムスンとLGが協力して成功することを内心期待するムードだ。グローバル競争で生き残るため、韓国を代表する2つの大企業が協力する共存事例を作ってほしいという話だ。韓国メディア「ヘラルド経済」が報じた。
これまでにサムスンとLG間で新製品の協力事例は全くなかったのだろうか?業界によるとサムスンとLGが過去に協力した事例はあったという。
サムスン電子は今年9月に発売した中価格スマートフォンのGalaxy A52について、LGイノテックからチップオンフィルム(CoF)全量の供給を受けているという。Galaxy A72は、LGイノテックやSTEMCOの2社からCoFを受けることになるという。
CoFは最近、スマートフォンに搭載されるコア部品の一つに挙げられる。スマートフォンでディスプレイパネルやフレキシブルプリント基板(FPCB)、ドライバーICを連結する部品だ。フィルムを巻いたり折りたたんだりすることが可能で、製品を薄くて小さく作ることができる。現在、CoFを大量生産する企業はLGイノテックとSTEMCOだ。
LGイノテックもサムスン電子からイメージセンサを買い入れ、カメラモジュールの生産に活用している。LGイノテックの事業報告書には、昨年からソニーのほか、サムスン電子がイメージセンサの主要な取引先として名を連ねている。
サムスン電子は、LGディスプレイから液晶ディスプレイ(LCD)の供給を受け、テレビを製造している。市場調査会社のオムディアも、サムスン電子が来年、ミニLEDテレビなどに使用されるLCDパネルの供給網で、シャープやLGディスプレイの割合を高めるだろうと見込んだ。これは供給網の多角化のためで、中国メーカーやタイメーカー間のバランスを取るためだという分析が出た。
最近ではLGディスプレイのOLEDが、サムスン電子のテレビにパネルとして使われるだろうという見方が出ている。また、両社が交渉中だという話も出ている。テレビ市場全体の規模は縮小しているが、OLEDパネルを使うプレミアムテレビ市場はむしろ拡大傾向であるため、サムスン電子の立場ではパネルの確保が最近、容易ではないという分析が出ている。
サムスンディスプレイが来年生産できるQD-OLEDパネルの出荷量は最大100万台で、サムスン電子の年間テレビ出荷量(5000万台)の2%水準にすぎない。一方、世界でOLEDテレビパネルを事実上独占供給しているLGディスプレイのパネル生産量は、今年年間800万台から来年1000万台、2023年には1100万台(推定値)へと次第に増えるものと見られる。
業界の関係者は「LGディスプレイとサムスン電子がテレビで協力をする可能性は非常に高いとみている」と伝えた。
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