(株)ドゥサンが、新たに開発したプリント回路基板(PCB)用の絶縁材料を掲げ、PCB素材分野で1位の座を確固たるものにしようとしている。16日、PCB業界によると、ドゥサンの電子ビジネスグループ(電子BG・以下ドゥサン電子)は最近、「テフロンレジン」という新製品の開発に成功した。韓国メディア「毎日経済」が報じた。
ドゥサン電子は、半導体や5G用のコア部品であるPCBに使用される銅張積層板(CCL)を生産している。CCLはPCBにおいて、電気が漏れないようにする絶縁材の役割をするのだが、絶縁層と呼ばれるレジンは、CCLの品質を左右するコア要素だ。
ドゥサン電子は、これまで主に使用してきた「エポキシレジン」に代わる素材を作り出した。あるドゥサン電子関係者は「テフロンはエポキシに比べ超低損失の特性を持ち、超高周波(㎜Wave)や6G(6世代)などの次世代高速通信に使用できる」と説明した。さらに、「テフロンは現在、宇宙・航空の特殊分野でのみ採用される高仕様素材だが、採用範囲が拡大する見通し」と述べた。
現在、ドゥサン電子は韓国内外のPCB素材産業分野において最高の地位にいる。PCB産業は大きく、△半導体基板△リジッド・フレキシブル基板、△後方(素材・設備・薬品・加工)に分けられる。ドゥサン電子は、後方産業の素材分野において事実上独占的な地位を持つ。サムスン電機やLGイノテックなどが生産する半導体基板の需要の拡大が続いているが、ここに必要なCCLをドゥサン電子が大部分供給している。また、スマートフォン・5G・半導体といった先端電子機器、いわゆる世界の「ハイエンド」素材市場において、今年約20%のシェアを記録し、2016年以降世界1位の座を保持している。ドゥサン電子のCCLを使用したPCBの供給を受ける最終顧客会社名簿には、サムスン電子・SKハイニックスといった半導体企業やアップル・グーグルなどのモバイル・ネットワーク企業が含まれている。
ドゥサン電子が製造するPCB素材が韓国内外で評価されるのは、1974年の韓国オーク工業の設立時から積み上げてきたノウハウのおかげだ。ある業界関係者は「PCBの性能に直接影響を与えるのがレジンの配合比」とし、「数十年間の試行錯誤を経て作られたため、後から進出した企業が追いつくのは難しい」と述べた。
今年のドゥサン電子の売上は、昨年より約10%増え9000億ウォン(約860億1578万円)に達する見通しだ。ドゥサン電子は2025年までの売上目標を2兆ウォン(約1911億4617万円)以上に設定している。市場の状況もドゥサン電子に有利に展開している。韓国PCB&半導体パッケージング産業協会によると、来年のPCB生産額は、今年より6.6%増え11兆8300億ウォン(約1兆513億円)に達すると見られる。特に、半導体基板の売上は今年より20%も拡大する見通しだ。
あるPCB業界関係者は「現在も5G用アンテナなどにテフロン素材が一部使われているが、従来のレジンより価格が10倍ほど高く、PCB製造時の加工性が良くないという限界がある」とし、「ドゥサン電子が、どれだけ価格を下げて加工性を向上させられるかが商用化のための最も重要な条件だ」と述べた。
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