サムスン電子が中国事業チームを新設したことが明らかになった。DX(Device eXperience、デバイスエクスペリエンス)部門長のハン・ジョンヒ副会長直属のチームである。近年、サムスン電子のスマートフォンが中国市場で苦戦している上に、供給網の管理面での重要性も高まっているため、遅くなる前に中国市場を管理するための方策を打ったと見られる。韓国メディア「nocutnews」が報じた。
12月19日、財界によると、サムスン電子は最近あった組織改編で、DX部門長のハン・ジョンヒ副会長直属の「中国事業革新チーム」を新設した。このチームは、人事、マーケティングなどを支援する基幹業務パートと事業部パートで構成されている。事業部の傘下には、モバイルを担当するMX部門や家電・映像ディスプレイ(VD)部門が入った。
サムスン電子の売上高で中国市場が占める割合は約30%(2021年第3四半期)で、単一国家市場では最も大きい。続いて、アメリカ(29%)、アジア・アフリカ(16.4%)、ヨーロッパ(12.6%)の順で売上高が多い。しかし、中国との交易は、半製品と完成品の内部循環の比重が極めて高いという特徴がある。
サムスン電子のスマートフォンは全世界で最も大きいスマートフォン市場である中国での競争力を失った。グローバル市場調査会社のCounterpoint Researchによると、2013~2014年に20%だったサムスン電子の中国スマートフォン市場シェアは、2019年には1%まで減少した。
2016年に生じたTHAAD(戦域高高度防衛ミサイル)配置による政治的危機で、反韓感情が中国に拡散して以来、中国では愛国消費傾向が大きくなった。サムスン電子もその影響を受け、Xiaomiやファーウェイ、OPPO、Vivo、Realmeなどの中国メーカーに追い抜かれた。
一方、アップルはプレミアムスマートフォン需要を攻略し、今年10月に初めて中国市場でシェア1位になるなど、成長の勢いを増している。世界最大市場で競合会社に遅れをとっているという点でも、サムスン電子は危機感を抱いていた。
財界のある関係者は、「サムスンが競争力の低下と中国メーカーの追撃で、中国市場で危機感を覚え、ターンアラウンドが必要と判断し、常設組織である革新チームを新設したと見られる」と述べた。
サムスン電子は現在、中国の西安市と蘇州市にそれぞれ半導体生産工場と後工程(パッケージング)工場を運営している。西安市の工場はサムスンの唯一な海外メモリ半導体生産工場で、150億ドル(約1兆7000億円)を投資した第2工場も近々完工される予定だ。
アメリカと中国の半導体覇権競争が激化していても、中国市場はサムスン電子にとって重要な市場である。今回新設される中国事業革新チームは、中国内の供給網の管理や販売の管理を担当すると予想される。
今月末から2週間の間、ソウル中央地方法院が冬の休廷になるため、イ・ジェヨン副会長が中国やヨーロッパに出張する可能性があると予想されている。イ副会長は最近、裁判日程の間にアメリカと中東に出張している。
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