サムスン電子とSKハイニックスが久しぶりに業績への期待感を一身に受けている。メモリ半導体市場が予想より悪くなかったためだ。来年下半期からは再び好況期が有力視される中、前ほど市況が大幅に上昇するのは難しいとの見通しも出ている。韓国メディア「Metro」が報じた。
26日、DRAMエクスチェンジなどによると、DRAMの現物価格は最近になって上昇傾向を持続している。
DDR4 8Gb基準価格は、3ドル(約343円)台後半だ。前四半期よりわずか5%程度低い水準、10%以上下落すると予想した業界の見通しをはるかに上回る。
需要が予想よりはるかに多かったためだ。ストリーミングだけでなく、メタバースなどの高容量データを使用するサービスが大幅に拡大し、スマートフォンやIT機器、パソコンなどの需要も少なくなかったという説明だ。
このため、サムスン電子やSKハイニックスなどメモリ業界の見通しも大幅に改善された。株価が連日上昇傾向を示す中、証券会社も目標値を上方修正している。米モルガン・スタンレーも、立場を完全に変えた。米マイクロンも同様に、前向きな業績予測を受け、株価を大幅に引き上げた。
もちろん、直ちにメモリ好況が始まったという話ではない。モルガン・スタンレーは、DRAM価格の下落水準を、来年第1四半期までの10%から7%へと下げたものの、依然、値下がりを予想している。他にも多くの専門家はメモリ価格が依然としてさらに下がる可能性が高いという立場を示している。
第1四半期のオフシーズンの影響だ。スマートフォンや家電市場がオフシーズンを迎え、メモリも同様に第1四半期は需要が減ることになる。メモリ製造企業の在庫水準も少なくないという。価格が大幅に下がることはないが、下落は避けられないと予想される。
「スーパーサイクル」への期待は第2四半期以降に集中している。来年初頭、サムスン電子を始め、中国などのグローバルスマートフォン業界が相次いで新作スマートフォンを発売する計画だ。5G普及も早まり、メモリ需要も大幅に増える可能性が高い。非メモリの供給難がメモリ需要の縮小につながった状況、来年下半期からは「半導体ショーテージ(不足)」も大部分解消されると期待され、メモリ需要もその場に戻る見通しだ。
DDR5の生態系も本格化し、DRAM価格も高くなる見通しだ。DDR5はDRAM規格で、DDR4に比べて最大2倍ほど速い速度を出すことができる。メモリ業界が最近出したDDR5規格製品はまだ性能が大きくは高くないが、今後のアップグレードのためには設備の入れ替えが欠かせない。インテルが来年第2四半期以降、DDR5 DRAMを支援するサーバー向けCPU「サファイアラピッズ」の発売を準備している状況で、今後DDR5がDDR4に早く代わると予想される。
ただし「スーパーサイクル」が以前ほど爆発的な市場成長を意味するわけではないというのが業界の大方の見方だ。相変わらずメモリ需要の供給が一部一致しないためサイクルが残ってはいるが、以前よりは予測精度が高くなったため、需要と供給を割と正確に満たすことができるという理由からだ。
業界関係者は「市場の懸念が大きかったが、業界が予想した通りメモリは堅調な需要を維持している」とし、「来年は需要が大きく増えるものと予想されるが、今回のダウンサイクルと同様に、来年の『スーパーサイクル』も市況の変動幅が期待ほど大きくはない」と予想した。
参考記事:サムスン、4Q半導体の営業利益10兆ウォンに迫る…来年の見通しも良好
参考記事:半導体の冬はもう終わりか…オミクロン流行の「パラドックス」
参考記事:モルガンスタンレー「メモリー半導体市場に冬の到来」を予測