昨年、韓国の二次電池(バッテリー)輸出額は86億7300万ドル(約1兆46億円)。1年前より15%以上増え、過去最高値と集計された。良い成果を出したものの、本音を見れば、ただ明るいばかりではない。韓国メディア「アジア経済」が報じた。(写真:聯合ニュース)
まず、バッテリー輸出が増えた以上に、韓国に入ってきた輸入量が増加し、貿易収支が減少している。貿易協会によると、昨年1~11月の輸入額は32億ドル(約3707億円)で1年前より77%以上増えた。増加率だけで見れば、輸出より5倍近く高い水準だ。
先月、主要品目別の輸入内訳は公開されなかったが、昨年下半期に入り、バッテリーの輸入額が毎月3億~4億ドル(約348億円~約463億円)前後に増えている点を考慮すると、昨年のバッテリー貿易収支は50億ドル(約5792億円)前後を記録したものとみられる。バッテリー貿易収支は2017年に50億5700万ドル(約5858億円)を記録し、初めて50億ドル(約5792億円)を超えた。その後、2019年に58億3500万ドル(約6759億円)でピークに達した後、2020年(55億500万ドル、約6377億円)に続き昨年まで2年連続で減少した。
韓国内でも電気自動車の生産が増え、リチウムイオンバッテリーを中心に需要が伸びたが、韓国内工場の生産物量だけでは確保が難しく、外国産製品の輸入が増えたものと見られる。韓国内で生産・販売中の現代(ヒュンダイ)車・起亜(キア)の電気自動車モデルの大半はSKバッテリーを使用しているが、SKの韓国内生産能力は4.7GWh水準にすぎない。SKは中国など海外工場で生産した外産バッテリーを需給し、現代(ヒュンダイ)車・起亜(キア)に供給したという。韓国国内企業が運営する海外工場で作って韓国内に持ち込んでも、輸入産と分類される。
問題はこれからだ。バッテリー輸出と輸入の相当部分がリチウムイオンバッテリーだが、グローバルプレーヤーの韓国企業3社(LG・SK・サムスン)は海外設備を増やすことに力を注いでいるからだ。一部の会社は、韓国内工場の増設どころか、既存の設備まで減らす方向で検討しているという。人材の需給が円滑でない状況で直ちに設備を増やし、稼動を控えている海外工場にさらに気を使わなければならないためだ。
物理的に韓国内生産量を増やすのは容易ではないが、韓国内でもバッテリー需要は今後も地道に増える可能性が高い。電気自動車やESSはもちろん、都心航空交通(UAM)、ロボットなど既存バッテリーの使い道が少なかった分野市場も拡大すると予想されたからだ。輸出増加幅が鈍化するなど事実上頂点に達した状況で、輸入が増加し貿易収支が後退し、このような見通しが力を得ている。
バッテリーは半導体・石油化学製品など政府が定めた15大輸出品目のうちの一つで、昨年の15製品のうち輸出額の増加幅が最も低いことが分かった。全体の輸出金額も家電とともに最も少ない水準だが、昨年の輸出好況局面で増加幅まで最も低いというのは、今後の輸出で占める地位がさらに高くなるのは難しいということだ。米国や中国、欧州などの先進国で、今後、エネルギー消費パターンが変わると見込んで、なんとか自国内にバッテリー設備を置こうとするのとは対照的だという指摘が出ている。
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