サムスン電子のスマートフォン事業は、昨年7年ぶりに営業利益が14兆ウォン(約1兆3567億円)を記録するほど、良い業績を上げたものと見られる。これまでになかった新しいフォームファクターのフォルダブルフォンの「大ヒット」と中低価格普及型スマートフォン販売増加のおかげと解釈される。韓国メディア「News1」が報じた。(写真:News1)
サムスン電子は7日、連結基準売上高76兆ウォン(約7兆3647億円)、営業利益13兆8000ウォン(約1兆3373億円)の第4四半期の暫定業績を公表した。
暫定業績には事業部別の業績は公示されていないが、証券業界ではサムスン電子IM(IT&Mobile)事業部が昨年第4四半期に3兆ウォン(約2907億円)台の営業利益を上げたものと見ている。
昨年第3四半期までIM事業部が10兆9900億ウォン(約1兆650億円)の営業利益を上げたことを考慮すれば、年間では14兆ウォンを超えたものと見られる。
サムスン電子IM部門の年間営業利益が14兆ウォンを超えるのは7年ぶりのことだ。IM部門は2014年に14兆5600億ウォン(約1兆4110億円)を記録して以来、△10兆1400億ウォン、約9827億円(2015年)、△10兆8100億ウォン、約1兆476億円(2016年)、△11兆8300億ウォン、約1兆1465億円 (2017年)、△10兆1700億ウォン、約9886億円 (2018年)、△9兆2700億ウォン、約8984億円 (2019年)、△11兆4700億ウォン、約1兆1116億円 (2020年)の水準にとどまっている。
IM部門の年間売上も107兆~108兆ウォン(約10兆3714億円~ 約10兆4661億円)台を達成したと予想され、2014年以降最大値を記録したと見られている。
このような好業績には、複合的な要素が働いたものと見られる。
まず昨年8月に発売されたフォルダブルフォン「Galaxy Z Fold3・Flip3」が市場で好評を得たことが最初の原因に挙げられる。
サムスン電子は2019年に初めて発売された「Galaxy Fold」を皮切りに毎年フォルダブルフォンの新製品を発売している。しかし防水防塵にも対応しておらず、ディスプレイの耐久性も落ちるなど、従来のバータイプのスマートフォンに比べ、使い勝手に問題があると指摘されていた。
しかし昨年に発売された「Galaxy Z Fold3・Flip3」は違った。デザインと耐久性や使い勝手を大きく改善し、市場で好評を得て、フォルダブルフォンの販売量が急増した。サムスン電子の昨年のフォルダブルフォンの販売台数は約800万台と試算され、前年比で4倍以上伸びた。
グローバルモバイル通信市場で5Gに対する期待感が本格的に現われている点もサムスン電子にとって「好材料」だった。
市場調査会社のカウンターポイントリサーチによると、昨年第3四半期にサムスン電子のスマートフォンは世界80カ国のうち、韓国をはじめ東南アジア・中南米地域を中心に43カ国でシェア1位を占めた。
また今年「Galaxy生態系」を構成するウェアラブル機器の成長も目立ち、業績改善に貢献した。「キム・ヨンギョンの時計」で話題になったGalaxyウォッチ4は、発売1カ月で販売台数40万台を突破した。
グローバル市場でもサムスン電子はシェアを拡大した。カウンターポイントリサーチによると、今年第3四半期、グローバルスマートウォッチ市場で、サムスン電子の出荷量は前年同期比16%増加し、2位の座についた。
このようなサムスン電子無線事業の好業績は、今年も続く見通しだ。サムスン電子は11日、CES2022で公開した「GalaxyS21ファンエディション(FE)」を北米や欧州市場で発売し、中低価格のスマートフォンの需要獲得に乗り出す。
2月8日には、オンライン・アンパックイベントを開き、上半期フラッグシップ・スマートフォン「Galaxy S22」シリーズを披露する。Sペンを内蔵し、事実上Galaxy Noteを継承した「Galaxy S22ウルトラ」などが市場の期待を集めている。
また、今年はグローバルモバイル通信市場で、5G商用化が本格的に始まることも、サムスン電子に有利な部分だ。
現在、グローバル5Gスマートフォン市場で、サムスン電子は、中国内需市場の恩恵を受けている中国メーカーのシャオミに押され、OPPOやVIVOなどに追われている。しかし、東南アジアや欧州、インドなど、サムスン電子の従来の主力市場で、5G商用化が始まった場合、シェアは回復するものと予想されている。
一方、サムスン電子は事業部別業績を含めた2021年の確定業績を27日に発表する予定だ。
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