ディスプレイ市場でLCD製品の下落傾向が続く…OLEDパネルの代替が急成長

毎年、液晶表示装置(LCD)製品がテレビディスプレイ市場で減っており、プレミアム製品の有機発光ダイオード(OLED)パネルが代替されつつあることが分かった。韓国メディア「The Public」が報じた。(写真:LGディスプレイが開発した次世代パネル「OLED.EX」)

グローバル市場調査機関のオムディア(Omdia)は11日、最近の報告書で、今年のテレビ向けLCDパネル出荷量が昨年より約2%減の2億5400万台になるとの業界の予測を示した。

これまでパネル市場で主力だったテレビ向けLCDパネルの出荷量は、2018年に2億8750万台とピークに達したが、供給過剰やパネル大型化の傾向とともに下落し続けた。

また、パネルメーカー各社がテレビ向けLCDパネルの需要を保守的に見て、これを情報通信(IT)機器向けパネルに転換していることも同様に出荷量の減少に大きな影響を及ぼしている。

今月8日、関連業界と市場調査機関のウィッツビュー(WitsView)によると、2月上半期のテレビ向けLCDパネルの平均取引価格は、1月下半期に比べ横ばい、または小幅に下落したが、昨年下半期に比べ30~50%ほど下落した。テレビサイズを問わず、昨年8月上半期と比べ、大幅な下落ぶりが確認された。

テレビ向けLCDパネル価格の下落傾向が収益性の悪化につながると、韓国国内のディスプレイメーカーはLCD事業を縮小するか撤退時期を繰り上げる案を積極的に検討しているという。

LGディスプレイは昨年、韓国内テレビ向けLCD生産ラインの稼動を中止しようとしたが、パネル価格が高騰すると、中止時期を見合わせた。

しかし、市場状況は次第に悪化し、終了時点を柔軟に決定する計画だ。

サムスンディスプレイの状況も、それほど変わらない。2021年からテレビ向けLCDパネル事業から撤退することを決め、生産量を減らしてきた。

サムスン電子の要請を受け、工場で一部生産しているが、出荷量は2018年比1/10レベルに減ったものと見られる。

LCDパネルと違って、テレビ向けOLEDパネルの出荷量は、早いテンポで増加している。OLEDは独自発光型有機物質で、次世代平板ディスプレイとして浮上している。

オムディアによると、昨年にテレビパネルとして使われたOLEDは730万平方メートルで、2019年(320万平方メートル)の2倍以上に拡大した。超高画質映像を望む消費者ニーズが高まり、需要と共にOLEDテレビ市場が急成長した影響だ。

またオムディアは昨年、全世界のOLEDテレビ出荷量が650万台と前年比80%程度成長したと分析したのに続き、今年はOLEDテレビ販売量が800万台になると見通した。また、グローバルテレビメーカー各社がOLED事業に力を入れ、今後の成長の勢いは激しくなるだろうという見方が支配的だ。

大型OLEDパネル強者のLGディスプレイは独占的に生産してきたパネル出荷量を2019年の330万台から2021年に800万台へ増やした。

また、画面の明るさを従来比30%改善した次世代OLEDテレビパネル「OLED.EX」を今年から本格的に量産し、第2四半期から製品パネル全シリーズに採用する方針だ。

LGディスプレイの今年の出荷量目標は1000万台前後だ。

テレビ市場1位のサムスン電子が今年、OLEDテレビを発売し、普及に拍車がかかる見通しだ。

サムスン電子はすでに、サムスンディスプレイが昨年末から量産を開始したQDディスプレイ(QD-OLED)テレビを発売する計画を明らかにした。

業界ではサムスンディスプレイの今年のQD-OLED出荷量が100万台前後と観測している。

参考記事:ミニLED vs OLED、プレミアムTV市場で競争激化…テレビ購入の適期到来か
参考記事:LCD事業の撤退を急ぐサムスンディスプレイ…今年6月に生産終了へ向け調整
参考記事:LGディスプレイ、今年の営業利益は1兆6000億ウォンを上回る見通し

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