中国が有機発光ダイオード(OLED)パネル市場で早いスピードで影響力を拡大している。液晶表示装置(LCD)に続き、OLEDまで、中国がトップにつきかねないという懸念も出ている。韓国メディア「Tech M」が報じた。(写真:ディミニッツ)
昨年10月、中国のディスプレイメーカーのBOEが低温多結晶酸化物(LPTO)素材のOLEDディスプレイパネル量産のためのテストを行った。ディスプレイ業界では当初、BOEがLPTOディスプレイパネル技術を実現するのに5年がかかると見込んだ。量産テストに成功する場合、BOEが5年の開発期間を大幅に短縮するものと予測した。
4日、BOEと中国のディスプレイメーカー「ビジョンオックス」が開発したOLEDが中国スマートフォンブランド「アナー」のプレミアムモデル「マジック4プロ」に搭載された。該当OLEDは、LTPO薄膜トランジスター(TFT)技術が融合された。
LTPO TFTは、アップルが2014年に開発したディスプレイ工程技術だ。従来の低温ポリシリコン(LPTS)ディスプレイパネルより電力消耗量は15~20%ほど減らし、120ヘルツ(Hz)走査率の実現が容易だという。しかしLPTO TFTは、ディスプレイ高熟練の核心技術で、サムスンディスプレイとLGディスプレイのみ実現可能だった。特に、LTPO TFT技術が採用されたスマートフォン向けOLED生産は、サムスンディスプレイが唯一だった。
アップルは、iPhoneプロモデルにLTPO TFTディスプレイを搭載した。中国のディスプレイメーカー各社は、iPhoneプロモデルの受注を確保するため、LTPO TFT技術開発に孤軍奮闘した。中国BOEはこれまで、アップルが望む技術レベルを備えておらず、iPhone一般モデルのOLEDパネルを納入してきた。
ディスプレイ業界では今回のBOEとビジョンオックスのLTPOディスプレイがサムスンディスプレイ製品に比べ明るさが30~40%低下すると分析した。しかし米国IT専門メディアのサムモバイルは「一般的な使用環境では問題ない」と評価した。また、中国メーカー各社は、LTPO OLEDを従来のOLED同様の安価で納入している。
全世界のOLED市場規模は、2024年には465億ドル(約56兆5000億ウォン、約5兆3635億円)に迫る見通しだ。ディスプレイ専門市場調査会社のDSCCは、サムスンディスプレイとLGディスプレイが2020年から2025年まで、それぞれ年平均12%と19%成長すると見込んだ。反面、BOEと中国CSOTの年平均成長率は25%と52%でサムスンディスプレイとLGディスプレイを大きく上回ると予測した。
中国ディスプレイメーカーの脅威に対し、サムスンディスプレイやLGディスプレイは反撃を準備しているのか、気にならざるを得ない。
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