サムスンがトップを守るには…ユン次期大統領の「半導体公約」は実現するか

グローバル半導体覇権争いが激しい中、ユン・ソクヨル次期大統領が構想した「半導体超強大国育成」公約が実現するかどうか業界が注目している。インテルを抜き、グローバル半導体業界トップの座についたサムスン電子がトップを維持するためには、ユン次期大統領の「半導体10万人の人材育成」など、人材中心の公約が重要になるものと見られる。業界は、このような半導体人材の育成を困難にする関連規制の改善の必要性を強調している。韓国メディア「ヘラルド経済」が報じた。(写真:サムスン電子)

12日、金融投資業界によると、インテルの今年の売上は最大753億ドル(約93兆ウォン、約8兆8323億円)水準と予想される。サムスン電子は今年、半導体部門の売上が110兆ウォン(約10兆4304億円)を優に超えるものと見られ、今年もインテルを抜き、グローバル半導体部門のトップを維持するものと見られる。

それでも長期的に確固たる1位を守るためには、半導体の人材確保が適宜行われなければならない。ユン・ソクヨル次期大統領の公約は、半導体産業の最優先課題である人材拡充に焦点を合わせている。技術人材10万人養成のため、半導体、コンピューター工学科の学生及び教授定員を既存定員とは別に指定して拡大し、修士・博士級半導体業界専門人材を拡充するという計画だ。また、半導体非専攻学生(卒業生含む)も半導体に専攻を転換できるように教育を実施することも公約に盛り込まれた。

韓国産業通商資源部(産業省)によると、半導体産業技術人材は今後10年間、毎年1500人を確保する必要があるという。

サムスン電子は成均館(ソンギュングァン)大学や延世(ヨンセ)大学、KAIST(KAIST)、ポステック(浦項工科大学)などと、SKハイニックスは高麗(コリョ)大学などと半導体契約学科を作り、人材を直接確保しているが、卒業生は毎年数百人に過ぎず、これだけでは足りないというのが政府や業界の判断だ。

韓国産業の半導体産業技術人材数は、昨年9万9285人で、不足人員は1621人、不足率は1.6%だった。しかし、一部では契約学科などを含め、サムスン電子とSKハイニックスの1年間の採用人員のうち、純粋な半導体人員は10%水準に過ぎないという指摘も出ている。大学を卒業したばかりの非専攻新入社員が多く、彼らを再教育するのに時間と費用も多くかかる。

こうした問題を解決するため業界の専門家・関係者らは首都圏整備計画法と半導体特別法の改善がカギになると予想している。

先月に可決された半導体特別法には、人材育成や首都圏大学関連学科の新設のための対策など、業界が期待していた内容が盛り込まれていなかった。現行の首都圏整備計画法も、首都圏の大学を人口集中誘発施設に分類し、定員拡大を制限しているため、半導体学科の新設が難しい状況だ。

一方、米国は国家経済安保のレベルで、ジョー・バイデン米大統領が半導体供給網会議を直接主宰し、前面に出ている。関連業界の代表らが出席した同会議では、米国内の半導体製造育成と供給網強化、基礎研究投資などを論議したという。サムスン電子も外国企業としては唯一参加した。

中国との貿易対立の中で、熾烈な半導体覇権争いも繰り広げている米国は、競争優位を占めるため、韓国、台湾などと緊密な協力関係の構築に乗り出している。台湾と中国も、年間数万人の人材を育成し、人材需給を通じた競争力確保に全力を尽くしている。

業界は大統領がコントロールタワーになって制度を改善し、省庁間(産業省・教育部)の意見を調整すべきだと助言する。

これと関連してユン次期大統領の公約には主要国との半導体産業育成と供給網再編に対応した通商協力および同盟強化、技術・安保・通商を包括する汎省庁力量および政策調整体系確立などの内容も盛り込まれた。

このほか、半導体産業育成のための研究開発および施設投資税制の拡大、電力・用水などのインフラ支援、競争国レベルに合わせた半導体産業関連支援システムの整備なども公言した。

漢陽(ハンヤン)大学融合電子工学部のパク・ジェグン教授(韓国半導体ディスプレイ技術学会長)は「中国は毎年20万人、台湾は1万人ずつ半導体新規人材が出ており、米国は大統領が直接乗り出している」とし、「韓国も大統領が直接コントロールタワーとなって首都圏半導体学部を多く作り、財源支援、首都圏整備計画法など規制改善でこれを解決しなければならない」と強調した。

参考記事:サムスン電子、昨年の半導体売上でインテルを抜いて首位を奪還
参考記事:サムスン電子が3年ぶりにインテルを追い抜き半導体売上高世界一位に
参考記事:半導体覇権をめぐりサムスン・アップル・インテル3社の三つ巴が激化

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