電気自動車バッテリーの中核原材料であるニッケルの価格が急騰したことを受け、国内バッテリーメーカー各社は、ニッケルが抜けたLFP(リチウムリン酸鉄)バッテリーの導入に拍車をかけるだろうという見方が出ている。韓国メディア「ファイナンシャルニュース」が報じた。(写真:ニッケル価格推移=韓国資源情報サービス)
これまで国内バッテリー企業は三元系NCM(ニッケル、コバルト、マンガン)バッテリーに力を入れてきたが、最近テスラがニッケルが入ったバッテリーを装着した電気自動車価格を引き上げ、他の完成車もLFPバッテリー採用を拡大しようという動きを見せているからだ。
13日、関連業界によると、テスラはモデルYロングレンジ、パフォーマンスバージョンとモデル3ロングレンジの価格をそれぞれ1000ドル(約123万ウォン、約11万7295円)ずつ引き上げた。また、中国で生産した同一車種の価格も1万元(約194万ウォン、約18万3954円)ずつ引き上げた。テスラは値上げの理由については明らかにしなかったが、ニッケル価格の高騰の影響と見られる。実際、テスラはLFPバッテリーを搭載したモデル3の価格は引き上げていないからだ。これに先立ち、米投資銀行のモルガンスタンレーは最近、ニッケル価格が急激に上昇し、テスラなどの電気車価格は1000ドル(約124万ウォン、約11万7295円)程度値上がりするだろうと予測している。
韓国資源情報サービスによると、ニッケルの1トン当たりの価格は今月7日に4万2955ドル(約5305万ウォン、約503万8387円)で前年比132.5%暴騰した。ニッケル価格は前日、取引中一時1トン当たり10万ドル(約1173万円)以上まで急騰した。これを受け、英ロンドン金小取引所(LME)は、ニッケル取引を中止している。世界3位のニッケル生産国であるロシアのウクライナ侵攻により、世界最大のニッケル生産会社である中国青山グループが空売りによる損失を挽回するため、ニッケルを大量に買収し、ニッケル価格が高騰したことがわかった。
このため、電気自動車の価格も上昇し、結局、需要の鈍化につながるのではないかという懸念が出ている。
これを受け、コストが比較的安いLFPバッテリーが代案として注目を集めている。LFPバッテリーは、中国CATLなどが主導している中、国内バッテリーメーカー各社は、三元系NCMバッテリーに力を入れている。
今回のニッケル価格の高騰を受け、国内メーカー各社のLFPバッテリーの導入スピードが早まるだろうという見方が出ている。
LGエナジーソリューションとSKオンは最近、LFPバッテリーを開発し、可能性を検討している。
LGエナジーソリューション関係者は「ニッケルなどバッテリー主要原材料について自動車顧客と価格連動契約になっており影響は制限的だが、ニッケル価格傾向が長期的なのか短期的なのか、状況を注視している」とし「LFPバッテリーを導入してもESS(エネルギー貯蔵装置)が優先になる」と述べた。
参考記事:韓国研究チーム、自然素材で500キロ走行するEVバッテリー用触媒技術開発
参考記事:韓国研究チーム、マンガン・ニッケルのみ使用したバッテリー正極材を開発
参考記事:現代自動車、露ニッケル鉱山に直接投資…EVバッテリー素材の確保強化