ニッケル価格急騰にEV生態系が混乱…自動車・バッテリー業界に緊張が走る

電気自動車(EV)向け二次電池の重要原材料といわれているニッケルやコバルト価格の高騰が続き、自動車業界やバッテリー業界は緊張している。自動車メーカーは直ちにバッテリーをより高い価格で購入しなければならない問題が発生した。昨年から始まった車両向け半導体不足など、ただでさえ供給網問題で業況が芳しくない現状の中、負担が増大したわけだ。韓国メディア「エナジー経済」が報じた。(写真:研究員がバッテリーを点検する様子=LGエナジーソリューション)

完成車業界の状況が停滞すると、バッテリー業界が連鎖的に動揺する可能性も提起されている。韓国内バッテリー企業は既存の高付加価値バッテリー開発に速度を出しながらも、最近安い価格でテスラなどが関心を見せているリチウム・リン酸・鉄(LFP)バッテリー市場にも進出する方針だ。

20日、関連業界によると、電気自動車バッテリーの中心原料に使われるニッケル価格は今月8日、ロンドン金属取引所(LME)で取引中一時111%急騰し、過去最高の1トン当たり10万1365ドル(約1億2580万ウォン、約1207万円)まで急騰した。急激な価格変動に、LMEはニッケルの取引を一時中止した。

世界的なエコ産業の需要増加を受け、ニッケル需要がここ数年間増加してきた中、最近、ロシアのウクライナ侵攻で供給が縮小するという不安感が最近、価格の急上昇を招いたものと分析される。

ニッケル価格とLME在庫量(資料=韓国資源情報サービス)

他の原材料価格も似たような傾向を見せている。市場調査会社のS&Pグローバルプラッツによると、炭酸リチウム価格は2021年2月以来1年ぶりに511%上昇した。水酸化リチウム価格は同期間380%上昇した。

バッテリー原材料価格の値上がりが続き、電気自動車のバッテリー価格も10年ぶりに初めて値上がりした。毎年生産規模が拡大し、単位当たりの原価が下がる「規模の経済」効果が色あせてしまった。

ブルームバーグNEFは来年にリチウムイオンバッテリーパックの価格がキロワット時当たり135ドル(約1万6千円)を記録し、今年より2.3%上がると見通した。価格調査を開始した2012年以降初めてのことだ。

サムスンSDIとLGエナジーソリューションは今年から円筒形バッテリーの価格を10%ぐらい引き上げたという。円筒形バッテリーは、主に電動工具や電気移動手段などに搭載される。

電気自動車の価格も値上がりする。全体価格の40%を占めるバッテリー価格の引き上げが現実味を帯びてきたため、やむを得ず下した決定だ。業界によると、電気自動車のバッテリー販売価格は、主要原材料価格の変化に連動される。原材料価格の上昇は自動車メーカーに転嫁され、結果的に消費者価格の上昇につながらざるを得ない。

テスラは最近、「モデル3」と「モデルY」の国内販売価格を最大200万ウォン(約19万6千円)引き上げると発表した。現代(ヒュンダイ)自動車と起亜(キア)は、今すぐ値上げはないという立場だ。しかし、新たに発売される電気自動車の新車から、高い価格が決まるだろうと業界では見ている。

ニッケル価格の高騰は完成車メーカーがLFPバッテリーの導入を急ぐ原因になりうる。現在、テスラを皮切りに、現代車など主要完成車メーカーは、LFPバッテリーの採用を考慮しているという。

LFPバッテリーは韓国国内業界が主力するニッケル・コバルト・マンガン(NCM)バッテリーと比べ、エネルギー密度が半分水準と低く、電気車に搭載するには適していないという評価が支配的だった。しかし、中国CATLを筆頭に、独自の技術を採用し、エネルギー密度を最大化したLFPバッテリーの開発に成功し、状況が変わった。ここに最近、原材料価格上昇の負担でテスラやフォルクスワーゲンなどの完成車メーカーは相対的に価格が安いLFPバッテリーに関心を示し、事実上の大勢となる雰囲気だ。

韓国国内業界もLFPバッテリーの生産に乗り出している。SKオンのチ・ドンソプ代表は今月17日、ソウル市江南区(カンナムグ)のCOEXで開催された「インターバッテリー2022」で、「全固体電池を準備しているが、時間は少しかかりそうだ」と述べた。

LGエナジーソリューションは、エネルギー貯蔵装置(ESS)を中心にLFPの導入を検討している。業界関係者は「今後、コスト削減のためバッテリーリサイクルなど収益性管理力量が競争力を左右する時期が来る可能性もある」と述べた。

参考記事:韓国バッテリー各社、ニッケル価格急騰を受けLFPバッテリー導入を急ぐ
参考記事:韓国のEVバッテリー製造各社、「夢のバッテリー」全個体電池の開発に積極的
参考記事:グラフェン被せ電池寿命が2倍に…LNO素材の限界を克服する技術を開発

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