中国現地に進出した韓国企業の悩みが深まっている。かつて「世界の工場」と呼ばれ、世界有数の企業が進出していた中国だが、ここ数年で経営環境が悪化しているためだ。韓国企業の中には脱中国を考慮するところも徐々に増えている状況だ。韓国メディア「ajunews」が報じた。(写真:中国西安にあるサムスン電子半導体工場=サムスン電子)
21日、業界によると、最近中国はコロナ19が広がったことで主要都市が封鎖されるなどの不確実性が大きくなっている。吉林省長春市、山東省威海市、徳州市などだ。最近は「中国のシリコンバレー」とされる広東省深セン市まで封鎖され、韓国企業も直接・間接的な影響が大きくなった。
特に、サムスン電子は、スマートフォン部品供給会社の工場が一時中止となり、間接的な影響は避けられない。サムスン電子によると、深セン市に直接工場を持ってはおらず、半導体販売法人だけを置いている。しかし指紋認識モジュールの供給を受けるフォックスコンのタッチパネル子会社「ゼネラル・インターフェース・ソリューション(GIS)」が今回の封鎖令で一時稼動を中止し、スマートフォン生産に支障が生じる可能性があるという懸念だ。
完成車業界も少なくない影響は避けられない見通しだ。山東省地域の封鎖で、電線の束(ワイヤリング・ハーネス)の不足現象が深まっている。これは電線とコネクタ、電源分配装置を連結する自動車の核心部品だ。国内部品メーカーのユラコーポレーションやキョンシンなどが、山東省の現地工場で製品を生産するが、該当地域の封鎖令により、工場の稼動が止まり、供給が足りなくなった。
コロナ19による封鎖令だけでなく、中国の経済成長率が鈍化している点も進出企業の困難を加重させている。企業は米国中心の覇権強化、中国の経済成長鈍化にコロナ19まで加わって「三重苦」になったと指摘する。これによる「脱中国ラッシュ」はさらに加速化するという分析だ。
実際、中国はコロナ19パンデミックによる反動により、昨年第1四半期の経済成長率が18.3%まで上昇したが、第2~4四半期には7.9%、4.9%、4.0%に低下した。中国は今年の経済成長率の目標値も31年ぶりに最低水準の5.5%前後と示した。これは1991年以来の最低値だ。
人民銀行が金融機関の支払準備率を下げて流動性を拡大するという見通しまで出ている。それだけ経済成長の鈍化が深刻だという証だ。中国は昨年7月と12月に支払準備率を引き下げた経緯がある。
このため、韓国企業は中国現地経営の困難を訴えてきた。全経連によると、中国に進出して10年以上の韓国企業を対象に調べたところ、約85%以上は投資環境が過去に比べて悪化したという。また「リショアリング(海外進出企業の国内復帰)」を考慮中の企業の割合は2020年3.0%から今年27.8%へ9倍以上増えた。
現地経営の困難は、実際の売上低下につながっている。全経連は100大企業のうち、中国売上開示大手企業30社の対中国売上を集計した結果、2020年基準の総売上が117兆1000億ウォン(約11兆6058億円)で、2016年の125兆8000億ウォン(約12兆4680億円)より6.9%減少したと把握したと発表した。
財界関係者は「著しい中国の経済成長率により韓国企業の進出ラッシュが続いたが、今は以前と同じではない」とし「人件費・不動産費用など支出負担などが高くなった状況で、米国の対中貿易制裁、コロナ19による封鎖令など悪材料が重なり、中国進出企業の悩みはさらに大きくなるしかない状況」と述べた。
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