LGイノテックは今年、デジタル革新力量を土台に新事業機会を模索する方針だ。
LGイノテックのチョン・チョルドン社長は23日、麻谷(マゴク)LGサイエンスパークで開かれた定期株主総会に出席し、このような計画を明らかにした。韓国メディア「デイリーインパクト」が報じた。(写真:LGイノテックのチョン・チョルドン社長=LGイノテック)
チョン社長は「コロナ19の拡大、グローバル供給網問題、原材料価格上昇など対外環境の困難が多かったが、昨年に過去最大の売上と営業利益を達成した」とし「100年永続企業になれるようデジタル革新(DX)高度化と先導技術で市場と顧客をリードしていく」と述べた。
これと関連し、LGイノテックは「デジタルツイン」を加速化し、協力企業と仮想空間でワンチームとして協業する「DXエコシステム」を構築する計画だ。「デジタルツイン」は、現実と同じ事象をデジタルで実現した後、様々な状況を検証して発生可能な問題を予測する技術だ。IT技術を活用し、研究開発(R&D)や製造競争力を強化することで、世界最高の品質を備えるという抱負だ。
技術投資などを通じて成長動力を確保するという考えも伝えた。チョン社長は「核心部品から素材単位まで先導技術で、トップ事業の地位をさらに強化する」とし「フリップチップボールグリッドアレイ(FC-BGA、半導体パッケージ基板)、自律走行部品などの新事業も成功的に進めていく」と述べた。
特に、LGイノテックはFC-BGAへの投資に積極的に乗り出すものと見られる。先月、FC-BGA施設・設備に4130億ウォン(約411億円)を投入することを決定した。
第5世代移動通信(5G)、人工知能(AI)、電装など先端技術が広範囲に採用され、電子機器が高性能化された。ただ電子機器がさまざまな役割を果たしているだけに、搭載される半導体の数が増加し、その分だけ半導体をより賢くするものの、小さく実現する技術が重要になった。半導体パッケージ基板の重要性が大きくなった背景である。
半導体パッケージ基板は、高集積半導体チップとメイン基板を連結して電気的信号と電力を伝達する。このうち、FC-BGAは基板層数を高めて微細回路を実現するのに役割を果たす。高密度回路連結を要求する中央処理装置(CPU)とグラフィック処理装置(GPU)で主に使われる。
FC-BGA市場は中長期的に年間14%以上成長する見通しだ。モバイル・パソコン向け半導体の多層化・大型化傾向が顕著になるにつれ、2026年までにFC-BGA需要が供給を上回ると予想される。
これを受け、LGイノテックは収益性の優れたFC-BGA事業に重点を置くという構想を明らかにしてきた。昨年末、関連組織まで新設した。FC-BGA事業が軌道に乗れば、カメラモジュール中心の事業構造が再編され、収益源の多角化も順調に進むものと予想される。
一方、LGイノテックは同日の株主総会で、第46期財務諸表承認件や取締役選任件を含めた計4つの案件が、全て原案通り議決した。
これと共に、イ・ヒジョン高麗(コリョ)大学法学専門大学院教授を初の女性社外取締役であり監査委員に選任し、取締役会の多様性を高めた。LGに長年勤め、素材・部品分野の特性とグローバル市場に対する識見を備えたアン・ジュンホン(株)LG専務をその他の非常務取締役に新たに選任した。代表取締役のチョン・チョルドン社長を社内取締役に、パク・サンチャン韓国ニューヨーク州立大学技術経営学科長を社外取締役に再任した。
さらに配当金を普通株基準で1株当たり3000ウォン(約298円)、計710億ウォン(約71億円)を支給することにした。2020年に比べて4倍以上に増えた。LGイノテックは今年から2024年まで配当性向を10%以上維持する計画だ。
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