「台湾の1人当たりの名目国内総生産(GDP)は、2003年に韓国に逆転されて以来、ずっと遅れを取っていた。しかし、最近になって状況が大きく変わった。国際通貨基金(IMF)の推計によると、台湾の1人当たりGDPは3年後の2025年に4万2801ドル(約522万4944円)となり、韓国(4万2719ドル、約521万4934円)を追い越すことになる。」
台湾が、国の経済の主要指標である1人当たりのGDPで、まもなく韓国を追い越すだろうと、日本の経済専門メディアが見通した。韓国メディア「ソウル新聞」が報じた(台湾市民が台北にて国旗の隣を歩いている様子=聯合ニュース)
日本の経済週刊誌ダイヤモンドは24日「台湾と韓国はかつて『アジア四小龍』(=韓国、台湾、香港、シンガポール)として、それぞれ電子産業を成長の中心軸として競争してきた」とし「長い間、韓国経済が優勢だったが、まもなく台湾が逆転するとみられる」と伝えた。
記事は「(台湾が韓国を2025年に超えるという) IMF推計は非常に保守的なもの」とし「台湾政府シンクタンクの中華経済研究院は台湾がすでに昨年、韓国を僅差で追い越したと推算している」と伝えた。
昨年、株式市場で台湾上場企業の時価総額は23.7%増えた反面、韓国は3.6%成長に止まった。両国の最高企業と比較しても、今月22日の終値で台湾TSMC(世界最大のファウンドリ半導体企業)の時価総額は5305億ドル(約65兆円)に達するが、韓国のサムスン電子は3879億ドル(約47兆円)水準だという。
記事は韓国と台湾は現在、経済戦争の3段階に突入していると評価した。
「両国が『アジア四小龍』と呼ばれた時代、台湾は経済と貿易の自由化を推進し、国営事業を民営化して電子産業の発展に総力を尽くした。台湾の中小企業が急速に成長した時期でもある。これに対し、韓国政府は鉄鋼や自動車のような重工業を重視する財閥を支援した。しかし1997年のアジア通貨危機で過度な債務を抱えていた財閥が大きな打撃を受け、韓国経済は力を失った。」(第1段階)
「2000年代に入り、台湾では1990年ごろから始まった中小企業の中国への流出で産業空洞化が進んだのに対し、韓国では金融経済システムの国際化が進み、財閥企業の『規模の経済』の利点を生かした経営が成功を収めた。」(第2段階)
記事は「現在の第3戦で台湾が逆転するのは、韓国経済が壁にぶつかっているため」と台湾中華経済研究院のワン・ジアン副院長の話として伝えた。
ワン副院長は「韓国経済を支える財閥企業は規模の経済(スケールメリット)という点では優秀だが、景気が悪化する局面では対応が遅くなる面がある」と指摘した。
また記事では「(韓国経済の強みだった)規模の経済で今や韓国財閥より中国企業が大きい。中国企業によって韓国財閥の市場が奪われ、技術力も逆転する現象が起きている。韓国経済は対中輸出に依存して成長を続けてきたが、今や中国輸出の大きな増加傾向は期待できなくなっている。」と指摘している。
記事は「韓国経済が壁にぶつかっているのとは違い、台湾は米中対立による世界的なサプライチェーン(供給網)変化が経済成長に追い風になっている」と述べた。
「台湾の蔡英文総統が2017年に産業革新政策を導入し、台湾企業が中国からUターンしているだけでなく、米国のグーグル、マイクロソフトといったグローバル企業も台湾に投資することになった」(同記事より)
コロナ19事態の衝撃が割合少なかった台湾では、都市封鎖が行われず、企業活動が続くことができ、輸出の成長の勢いも韓国を凌いだ。台湾ドルの価値切り上げが輸出に不利に働く可能性もあったが、企業の高い競争力がこれを相殺し、結果的に通貨高が1人当たりGDPを伸張させる結果を生んだと、同記事は分析した。
しかし同記事は、韓国が台湾に対して持つ強みについても触れた。
「韓国は100大企業の研究開発(R&D)投資がコロナ19事態の渦中である2020年にも前年比3.3%増加した。半導体、情報技術(IT)だけでなく、次世代自動車、水素エネルギー、航空宇宙など幅広く投資が行われ、台湾の中小企業を圧倒する財閥の資金力を立証した」(同記事より)
記事は「韓国のユン・ソクヨル次期大統領は米国寄りであるため、これまで米国の全幅的な支援を受けてきた台湾のアジア内での立地が弱まる可能性もある」と見通した。
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